同じ「検討中」でも、人によって意味が違っていませんか

案件の一覧にステータス欄を作ったのに、会議のたびに「これは実際どうなっているの?」と聞き直している。原因の多くは、ステータスの名前はあっても、定義が決まっていないことです。

ある担当者は電話で好感触だっただけで「提案中」にし、別の担当者は見積書を出すまで「見込み」のままにする。これでは件数を数えても、売上の見通しにも、次に打つ手の判断にも使えません

ステータスがぶれている会社で起きること

  • 同じ段階の件数を数えても、担当者ごとに中身が違う
  • 「検討中」のまま何か月も動かない案件が溜まる
  • ステータスが多すぎて、どれを選べばよいか迷う
  • 失注した案件が消されて、理由が残らない
  • 引き継いだ人が、どこから手を付ければよいか分からない

ステータスは「気持ち」ではなく「次に進む条件」で切る

ぶれの原因は、ステータスを見込みの高さで決めていることです。見込みは担当者の感覚なので、人によって変わります。一方、見積書を出した・決裁者と会ったのような事実は、誰が見ても同じ判断になります。

そこで、各段階に「この事実があれば次に進める」という条件を1つずつ付けます。条件を満たさない限り進めないので、担当者が変わっても同じ案件は同じステータスになります。

段階の間に「進む条件」を置く 初回接触 ヒアリング済 提案済 見積提出 受注 課題を聞けた 提案書を渡した 金額を出した 発注を受けた 失注・保留は段階とは別の欄で持つ

段階の名前より、段階と段階の間にある条件のほうが大事

案件ステータスを決めるときの5つのポイント

POINT 1

段階は5〜7個に収める

細かく分けるほど正確に見えますが、選ぶ人が迷い始めた時点で入力は乱れます。受注までを5〜7段階に収め、それ以上の細かさはメモや活動履歴に任せます。

POINT 2

名前は「〜済」「〜提出」の事実で付ける

「有望」「検討中」のような言葉は解釈が割れます。「ヒアリング済」「見積提出」のように、起きた事実を名前にすると、選ぶ段階で迷いません。

POINT 3

失注と保留は段階から外す

失注や保留を段階の途中に並べると、件数の集計が崩れます。段階とは別に「状態」の欄を持ち、失注には理由を必ず選んでもらいます。理由が溜まると、次の提案の改善材料になります。

POINT 4

段階ごとに「滞留の目安」を決める

同じ段階に長くとどまる案件は、たいてい止まっています。段階ごとに日数の目安を決め、超えたら知らせるようにすると、「検討中」のまま放置される案件が減ります。

POINT 5

定義を一覧の隣に書いておく

決めた定義は、会議の資料ではなくステータスを選ぶ画面のすぐ近くに表示します。新しく入った人も、その場で確かめながら選べます。仕組み全体の作り方は案件管理を効率化する方法で解説しています。

迷ったら、受注から逆にたどる

直近の受注案件を3〜5件選び、受注の直前に何が起きていたかを順にさかのぼって書き出します。どの案件にも共通して起きていた出来事が、自社の段階の区切りになります。

見込み度で分ける・行動で分ける・条件で分けるの比較

ステータスの決め方には、大きく3つの考え方があります。

観点 見込み度で分ける 営業の行動で分ける 進む条件で分ける
A・B・C、有望・普通 訪問済・提案済 決裁者と面談済・見積提出
人による差 × 大きい △ やや出る ◎ ほぼ出ない
売上の見通し × 当たらない △ 目安になる ◎ 段階ごとの受注率が出る
決める手間 ◎ すぐ決まる ◎ すぐ決まる △ 受注の振り返りが要る

行動で分ける方法は分かりやすい反面、顧客側が何も進んでいなくても営業が動けば段階が進むという弱点があります。訪問を重ねただけで「提案済」になり、見通しが甘くなります。

条件で分ける方法は、最初に受注案件を振り返る手間がかかります。その代わり、段階ごとの受注率が数字で出るようになり、来月の売上の見通しや、どの段階で止まりやすいかが分かります。

なお、段階の数が決まったら各段階の件数と金額の合計を毎週同じ曜日に記録しておくと、数か月後には「提案済から受注までに何割が残るか」という自社だけの目安ができます。この目安があると、今月あと何件の提案が必要かを逆算できるようになります。

自社のステータスを決める4ステップ

1
受注案件を
振り返る
直前に何が
起きていたか
2
共通の出来事で
区切る
5〜7段階に
まとめる
3
進む条件を
1文で書く
誰が読んでも
同じ判断になる形
4
1か月使って
見直す
迷った案件を
集めて直す

今ある案件は、決めた定義で一度振り分け直す

新しい定義を作っても、既存の案件が古い基準のままだと集計が混ざります。切り替えの日に、進行中の案件をすべて新しい条件で選び直す時間を30分だけ取ると、翌月からの数字が信用できるものになります。

定義のないステータスと、条件で決めたステータス

定義のないステータス
  • 会議のたびに案件の中身を聞き直す
  • 「検討中」が何か月も溜まっていく
  • 売上の見通しが担当者の感覚で決まる
  • 失注の理由が残らず、同じ負け方をする
条件で決めたステータス
  • 一覧を見れば、どこまで進んだか分かる
  • 止まっている案件に自動で気づける
  • 段階ごとの受注率から見通しが立つ
  • 失注理由が溜まり、提案の改善に使える

ステータスの見直しは、ツールを入れ替えなくても今日から始められます。まずは直近の受注案件を並べて、受注の直前に何が起きていたかを書き出してみてください。追いかけ漏れまで防ぎたい場合は追客リマインドの設計もあわせて参考にしてください。

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