「昨日の夜勤の申し送り、聞いていなかった…」

介護の現場では、利用者さんの体調・服薬・食事・排泄・ヒヤリハットなど、 シフトをまたいで確実に引き継がなければならない情報が毎日大量に発生します。 その多くを、いまだに連絡ノートへの手書き+口頭の申し送りで回している事業所は少なくありません。

ところが紙と口頭の申し送りは、どうしても「言った・聞いていない」が起きます。 日勤・夜勤・遅番・早番と勤務が入り組むほど、情報が届く人と届かない人が出てしまい、 利用者さんの安全に関わる大事な変化が抜け落ちるリスクがあります。

📌 よくある状況

  • 連絡ノートを読む前に業務が始まり、申し送りを見落とす
  • 口頭で伝えた内容が、休みだった職員に届いていない
  • 手書きの文字が読めず、内容を確認するのに時間がかかる
  • 過去の申し送りをさかのぼって探すのが大変

「その場にいた人しか知らない」構造が原因

紙と口頭の申し送りは、「その時間・その場所にいた人にしか情報が届かない」という 構造的な弱さを持っています。休憩に入っていた、別の利用者さんの対応をしていた、 そもそも公休だった――こうした理由で、伝わるべき情報が一部の職員だけで止まってしまいます。

さらに、ベテラン職員の「なんとなくの気づき」が記録に残らず頭の中だけにあると、 その人が休んだ日や退職した後に情報が途切れ、ケアの質が下がる原因にもなります。 これが介護現場でよく言われる「申し送りの属人化」です。

紙・口頭は「その場にいた人」だけに情報が届く 利用者の変化 体調・服薬・ヒヤリ その場の職員 ◎届く 休み・別対応 ✕届かない 情報の抜け漏れ = 属人化・事故リスク 全員が同じ情報を見られる仕組みが必要

情報が一部の職員だけで止まることが、抜け漏れと属人化の入り口になる

「読める・探せる・届く」申し送りにする

POINT 1

ケア記録と申し送りをひとつにつなげる

体調・食事・排泄・服薬などの日々のケア記録と申し送りが別々だと、二重入力になり抜けも増えます。 記録の中で「これは申し送る」とチェックすれば、そのまま申し送り一覧に載る形にすると、入力の手間なく漏れを防げます。

POINT 2

利用者ごと・重要度ごとに整理して表示する

すべてを時系列でだらだら並べると、大事な情報が埋もれます。 利用者ごと、あるいは「要注意」「服薬変更」などの分類で表示できると、次の勤務者が必要な情報にすぐたどり着けます。

POINT 3

スマホ・タブレットでその場から入力する

事務室のパソコンまで戻って書く運用だと、後回しになって記憶が薄れます。 スマホやタブレットで、気づいたその場・その時間に入力できるようにすると、鮮度の高い情報が残ります。

POINT 4

「確認済み」が分かるようにする

届けるだけでなく「誰が読んだか」が分かると、伝達漏れを可視化できます。 重要な申し送りに確認ボタンを付け、未読の職員が分かるようにすれば、「聞いていない」をなくせます。

POINT 5

過去の申し送りをすぐ検索できるようにする

「先週この方、転倒しかけていなかった?」という確認が、キーワードや日付で一瞬で探せると安心です。 蓄積した記録は、家族への説明やケアプランの見直しにも活用できます。

💡 まず始めるなら「1と3」から

5つ全部を一度にやる必要はありません。効果が出やすいのは ①記録と申し送りをつなげる ③その場でスマホ入力するの2つ。 この2つだけでも、二重入力と「後で書こうとして忘れる」問題の多くが解消します。

何がどう変わるのかを比べてみる

観点 デジタル申し送り 紙・口頭の申し送り
情報が届く範囲 ◎ 全職員が同じ内容を見られる △ その場にいた人だけ
確認状況 ◎ 誰が読んだか分かる △ 読んだか確認できない
過去の記録の検索 ◎ キーワード・日付で一瞬 △ ノートをめくって探す
導入のしやすさ △ 初期の設定・慣れが必要 ◎ すぐ始められる
属人化のリスク ◎ 記録に残り引き継げる △ 頭の中で途切れやすい

申し送りのデジタル化を始める4ステップ

1
申し送り項目を
洗い出す
何を必ず引き継ぐか
現場で整理する
2
入力画面を
シンプルにする
忙しくても押せる
最小限の項目に
3
試しに
使ってみる
1ユニット・数日で
使い勝手を確認
4
全体へ
広げる
現場の声を反映して
本格運用へ

いきなり全ユニットで完璧に始めようとせず、まずは一部で試して現場の声を聞くのが失敗しないコツです。 「入力が面倒で誰も使わない」という事態を避けるには、忙しい合間でも押せるシンプルな入力画面にすることが何より大切です。

紙・口頭のままの場合と、デジタル化した場合

🟡 紙・口頭のままの場合
  • 休みだった職員に大事な変化が伝わらない
  • ベテランの気づきが記録に残らず属人化する
  • 過去の申し送りを探すのに時間がかかる
  • 「言った・聞いていない」のトラブルが起きる
🟢 デジタル化した場合
  • 全職員が同じ申し送りをいつでも確認できる
  • 気づきが記録に残り、誰でも引き継げる
  • キーワードや日付で過去の記録をすぐ探せる
  • 確認状況が見え、伝達漏れをなくせる

申し送りのデジタル化は、単なる事務の効率化ではなく、利用者さんの安全とケアの質を守る取り組みです。 職員の入れ替わりが多い現場ほど、「記録に残す・全員に届く」仕組みの価値は大きくなります。

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