注文の入口がバラバラで、転記が止まらない
卸売の現場では、同じ「注文」がFAX・電話・メール・LINE・営業担当への口頭という複数の経路で届きます。得意先ごとに慣れた方法が違うため、こちらの都合で1つにそろえることもできません。
その結果、受注担当は届いた形をExcelの受注表に打ち直すという作業を1日中続けることになります。ここで生まれるのが、桁の間違い、単位の取り違え、注文の見落としです。
📌 卸売の受発注でよく起きること
- FAXの手書き文字が読めず、電話で確認し直す
- 得意先ごとの単価や掛率が担当者の頭の中にある
- 「ケース」か「本」か、単位の取り違えで数量が10倍になる
- 在庫を確認しないまま受け、後から欠品の連絡を入れる
- 月末の締めで、納品書と請求書の数が合わない
問題は注文の量ではなく、入口ごとに形が違うこと
受発注が大変な理由を「注文が多いから」と捉えると、人を増やす以外の解決策が出てきません。実際の負担の正体は入口ごとに情報の形がバラバラなことにあります。
FAXには得意先の書式、メールには文章、電話には口頭の言い回し。これを人の頭の中でそろえているから、転記が必要になります。逆に言えば、受注の形を1つ決めて、全部そこに集めるが決まれば、そこに向かって入力する作業だけが残ります。
FAX注文そのものの扱い方はFAXで届く注文をデジタル管理するための選択肢で詳しく扱っています。この記事では、複数の入口をまとめたあと、在庫の引き当てと請求につなぐところまでを扱います。
入口を1つの受注一覧にそろえてから、在庫・出荷・請求へ流す
卸売の受発注アプリで押さえる5つのポイント
入口が何であれ、受注一覧の形は1つにする
FAXでもメールでも、最終的に入る先は同じ一覧にします。入力の手段は違っても、置き場所は同じという状態を作れば、後工程はすべて同じ手順で進められます。入口ごとに別の表を持つと、締めのときに必ず食い違います。
商品と単価は台帳から引く
商品名を手入力させると、表記ゆれで集計できなくなります。商品コード・商品名・入り数・単位・標準単価をあらかじめ登録しておき、選ぶだけにします。ここを整えるだけで、単位の取り違えと単価の間違いが同時に減ります。
得意先ごとの条件を持たせる
卸売の肝は、掛率・単価・発注単位・締め日・配送曜日が得意先ごとに違うことです。この条件を得意先の情報として持たせておけば、受注を入れた時点で正しい金額が出ます。担当者の記憶に頼らない形にするのが目的です。
受けた時点で在庫を引き当てる
受注と在庫が別々だと、在庫がないのに受けてしまうという事故が起きます。受注が入った時点で引き当て、残りが足りなければその場で分かる形にします。欠品の連絡が早いほど、得意先の信用は落ちません。
出荷と請求まで、同じデータでつなぐ
受注のデータから納品書を出し、締め日にその期間ぶんを集計して請求にします。同じ数字を一度しか入力しないため、数が合わないという月末の確認作業が消えます。在庫側の考え方は在庫管理を効率化する方法も参考になります。
💡 最初に作るのは、受注一覧だけでいい
在庫も請求も一度に作ろうとすると、止まります。まずはどの入口で受けた注文も、同じ一覧に並ぶところまで。ここが動いてから、在庫の引き当て、その次に請求へと広げるのが失敗しない順番です。
今のやり方・既製システム・自社に合わせたアプリ
卸売は商習慣が会社ごとに違うため、既製のシステムがそのまま合わないことがよくあります。3つの選択肢を並べて比べてみます。
| 観点 | Excel・紙の台帳 | 既製の受発注システム | 自社に合わせたアプリ |
|---|---|---|---|
| 入口をまとめる | × 転記が必要 | ◎ まとめられる | ◎ まとめられる |
| 得意先ごとの条件 | △ 担当者の記憶 | △ 機能の範囲内で | ◎ 商習慣に合わせられる |
| 在庫との連動 | × 別管理になる | ◎ 標準で連動 | ◎ 必要な範囲で連動 |
| 導入までの早さ | ◎ 今日からできる | △ 設定に時間がかかる | △ 試作は1週間ほど |
| 使わない機能 | ◎ ない | × 費用に含まれる | ◎ 作らなければない |
既製の受発注システムが悪いわけではありません。商習慣が標準的で、得意先ごとの例外が少ない会社なら、そのまま使うのがいちばん早く安く済みます。合わないのは、業界特有の単位や、長年の取引で決まってきた個別条件が多い場合です。
判断の目安は、既製品の入力画面に、そのままでは入れられない得意先が何社あるかという点です。3社以上あるなら、既製品に合わせるより、自社の条件に合わせて作ったほうが結果的に運用が回ります。
受注一覧から広げる4ステップ
注文を集める
実物を並べる
1つに決める
項目だけ残す
台帳にする
単価が出る形へ
つなげる
二度入力しない
📌 台帳づくりが、いちばん効く準備
商品台帳と得意先台帳がそろっていない状態でアプリを作っても、結局は手入力に戻ります。商品コード・入り数・単位・得意先ごとの掛率を整える作業が、実は受発注アプリでもっとも成果に直結する部分です。
転記を続けた場合と、受注一覧にまとめた場合
- 届いた注文をExcelに打ち直す時間が毎日発生する
- 単位や桁の取り違えが、出荷してから発覚する
- 在庫を確認しないまま受け、欠品の連絡が遅れる
- 月末の締めで、納品書と請求の数が合わない
- 入口が違っても、同じ一覧に並んで進捗が見える
- 商品と単価は選ぶだけになり、間違いが減る
- 受けた時点で在庫が引き当たり、欠品がすぐ分かる
- 締め日に集計するだけで請求まで出せる
卸売の受発注は、入口の多さと、得意先ごとに違う条件が本質です。ここを人の頭でそろえている限り、担当者を増やしても負担は減りません。まずは1週間ぶんの注文を並べて、共通する項目を洗い出すところから始めてください。
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