「手作業が多いのは分かっているけど、投資するほどかは…」
転記、集計、印刷、はんこ、電話確認。 手作業が多いことは全員が感じているのに、システム化の話になると 「うちの規模でそこまでの投資は」と止まってしまう。よくある場面です。
止まる理由ははっきりしていて、費用は金額で、効果は感覚で語られているからです。 比べられない2つを並べているので、判断のしようがありません。 この記事では、手作業にかかっているコストを年間の人件費として計算し、 費用と同じ土俵に乗せる方法を紹介します。電卓ひとつでできます。
📌 計算に必要なのは3つの数字だけ
- その作業にかかる時間(1回あたり何分か)
- 頻度(1日/1週/1月に何回あるか)
- 担当者の時間単価(月給 ÷ 月間労働時間)
感覚のままだと、必ず費用側が勝つ
「200万円かかります」と「けっこう手間がかかっています」を比べれば、 誰でも前者を重く感じます。金額のほうが具体的だからです。 ところが手作業を年額に直すと、多くの中小企業で1業務あたり年間数十万〜数百万円になります。 このとき初めて、投資が高いのか安いのかを判断できるようになります。
もう一つの効果は、優先順位がつくことです。 社内には改善したい業務がいくつもありますが、金額で並べると 「どれから手をつけるべきか」が自動的に決まります。 声の大きさではなく数字で決められるので、社内の合意も取りやすくなります。
1日20分の作業でも、担当人数を掛けると想像以上の金額になる
見落としやすいコストを入れると精度が上がる
時間単価は「月給 ÷ 月間労働時間」でよい
月給30万円・月160時間なら、時間単価は約1,875円です。 厳密には社会保険料などの会社負担分(おおむね1.2〜1.3倍)を掛けるとより実態に近づきます。 細かい精度より、まず全業務を同じ基準で計算することが大事です。
「探す時間」を必ず含める
入力そのものより、ファイルを探す・前回の数字を確認する・誰かに聞く時間のほうが長いことがよくあります。 作業時間を測るときは、着手してから完了までの実測で取ってください。 体感より2〜3割長いのが普通です。
ミスの手戻りコストを別枠で足す
転記ミスが月に2回あり、1回の修正に1時間かかっているなら、それも立派なコストです。 さらに、請求ミスによる値引き対応や信用の低下といった間接的な損失もあります。 金額にしづらいものは「月◯回発生」とだけ書き添えておくと判断材料になります。
「その人しかできない」業務は割増で見る
属人化している作業は、担当者が休んだ瞬間に業務が止まります。 この停止リスクは通常のコスト計算に現れませんが、実際の影響は大きい部分です。 同じ金額なら、属人化している業務を優先するのが定石です。
削減率は控えめに見積もる
システム化しても作業がゼロになるわけではありません。 確認や例外対応は残るので、削減率は5〜7割程度で見ておくのが現実的です。 控えめに見積もっても投資回収が成り立つなら、その案件は進めて問題ありません。
💡 具体例で計算してみる
受注内容を基幹システムへ転記する作業が、1件20分・1日1件・年240日、担当者の時間単価2,500円だとします。
20分 × 240回 × 2,500円 = 年間20万円。これを3人が別々に行っていれば年間60万円。
削減率6割なら、年36万円の効果です。開発費が100万円でも、約2.8年で回収できる計算になります。
数字にすると、判断できることが増える
コストを計算しても、答えが「やらない」になることもあります。 それでも構いません。重要なのは、根拠を持って決められるようになることです。
| 観点 | コストを計算した場合 | 感覚で判断する場合 |
|---|---|---|
| 投資判断 | ◎ 回収期間で可否を決められる | △ 「高い気がする」で止まる |
| 優先順位 | ◎ 金額の大きい業務から着手できる | △ 声の大きい要望が優先される |
| 社内の合意 | ◎ 同じ数字を見て議論できる | △ 立場ごとに意見が割れる |
| 導入後の評価 | ◎ 前後比較で効果を確認できる | △ 効果があったか分からない |
| 準備の手間 | △ 時間の実測が必要 | ◎ すぐ結論を出せる |
手作業コストを出す4ステップ
書き出す
10個ほど挙げる
実測する
所要時間を記録
換算する
×担当人数で計算
出す
で年数を計算
📌 判断の目安は「回収期間3年以内」
一般的に、業務システムの投資回収は3年以内なら妥当とされます。 2年を切るなら優先度は高く、5年を超えるなら対象範囲を絞って 小さく作り直したほうがよい、という判断になります。
感覚で止まっている場合と、数字にした場合
- 費用だけが具体的で、効果は「なんとなく」のまま
- 毎年同じ議論をして、毎年見送りになる
- どの業務から手をつけるべきか決まらない
- 導入しても効果があったのか分からない
- 費用と効果を同じ金額で比べられる
- 回収期間という基準で可否を判断できる
- 金額の大きい業務から順に着手できる
- 導入後に前後比較で効果を確認できる
手作業コストの計算は、システムを入れるための材料ではなく、 入れるべきかどうかを自社で判断するための材料です。 まずは思い当たる作業を3つ選んで、1週間だけ時間を測ってみてください。 そこで出た金額が、次の一歩を決めてくれます。
削減できる工程から、小さく試作します
「どの作業から手をつければ効果が大きいか分からない」という段階からで大丈夫です。
SHISAKUBAが業務に合わせて設計し、最短1週間で試作品をご提案します。