「あの見積、どれが最新だっけ」と探していませんか

見積書をExcelのひな形で作り、PDFにしてメールで送る。多くの会社がこの方法で見積を出しています。1件ずつ見れば問題のないやり方ですが、件数が増え、値引きや仕様変更で何度も出し直すようになると、ファイルが増えて、どれが最新版か分からなくなります。

さらに困るのは、出した見積がその後どうなったかを、会社として把握できないことです。返事を待っている見積、他社に決まった見積、そのまま忘れられた見積が、担当者のフォルダとメールの中に埋もれています。受注したら、見積の内容を請求書や発注書に打ち直す手間もかかります。

見積書の管理でよく起きること

  • 「見積_最終」「見積_最終2」のようにファイルが増える
  • 担当者ごとに単価や値引きの出し方が違う
  • 提出した見積の返事を確認しないまま、期限が過ぎる
  • 受注後に、見積の明細を請求書へ打ち直している
  • 今月いくら分の見積を出し、何割が受注になったか分からない

原因は、見積が「書類」として扱われ、「データ」になっていないこと

Excelの見積書は、見た目を整えた1枚の書類です。金額や品目は書類の中に書かれているだけなので、別の見積と比べたり、件数や金額を集計したりするには、ファイルを1つずつ開くしかありません。

アプリ化のねらいは、見積を「取引先・品目・数量・単価・版・状態」を持ったデータとして管理し、PDFはそこから作る形に変えることです。そうすれば、最新版はいつも1つに決まり、出した見積の状態も一覧で見られるようになります。

見積を中心に、前後の仕事をつなぐ 品目・単価表 全員が同じ単価 ▶ 見積データ 版1 → 版2 → 版3(最新は1つ) 状態:作成中・提出済・検討中・受注・失注 ▶ 受注後 請求・発注へ引き継ぐ 見積の一覧 返事待ちの見積・今月の提出額・受注した割合が分かる

PDFは「データから作る出力」と考える

見積書の管理をアプリ化するときに決めておく5つのこと

POINT 1

品目と単価の表を1つにする

担当者が自分のExcelに単価を持っていると、同じ品目でも見積ごとに金額が変わります。品目・標準単価・原価を1つの表にまとめ、見積はそこから選んで作るようにします。単価を改定したときも、表を直すだけで全員に反映されます。

POINT 2

出し直しを「版」として残す

値引きや数量の変更で見積を出し直すときは、新しいファイルを作るのではなく、同じ見積の版を1つ進める形にします。過去の版も残るので、「前回はいくらで出したか」をすぐに確かめられ、最新版を取り違えることもなくなります。

POINT 3

値引きの幅と承認のルールを決める

「標準単価から10%を超える値引きは上長の承認が必要」のように、担当者が決めてよい範囲と、承認が要る範囲を決めておきます。粗利が一定より下がる見積だけ承認に回すようにすると、承認者の負担も増えすぎません。

POINT 4

提出後の状態と、次に連絡する日を記録する

見積を出したら終わりにせず、「検討中」「受注」「失注」の状態と、次に確認の連絡をする日を持たせます。返事が来ないまま期限を迎えそうな見積を一覧で出せば、確認の連絡を忘れません。追いかけ方の詳しい設計は見込み客の追客漏れを防ぐ方法で解説しています。

POINT 5

受注したら、明細を請求と発注へ引き継ぐ

受注した見積の品目と金額は、そのまま請求書や仕入れ先への発注の元になります。受注にした時点で、明細を請求の予定として引き継ぐようにすれば、打ち直しによる金額の間違いがなくなります。

失注の理由も一言残しておく

失注にするときに「価格」「納期」「他社に決定」などの理由を選んで残しておくと、半年後にどんな理由で負けることが多いかが分かります。単価表を見直すときの材料になります。

Excelのひな形・市販の見積ソフト・自社用の見積アプリの比較

見積書の作り方を、管理のしやすさと自社の見積の形への合わせやすさで比べます。

観点 Excelのひな形 市販の見積・請求ソフト 自社用の見積アプリ
最新版の管理 × ファイルが増える ◎ 1か所で管理 ◎ 版として残る
独自の計算 ◎ 数式で自由 △ 決まった形に合わせる ◎ 自社の計算に合わせる
提出後の追跡 × 担当者のメール頼み △ 状態の管理は簡易なものが多い ◎ 次の連絡日まで持てる
始めやすさ ◎ 今すぐ ◎ 登録してすぐ △ 最初に設計が必要

品目と単価が単純で、見積から請求までを1つのサービスで済ませたいなら、市販の見積・請求ソフトで十分なことも多いです。一方で、工事や制作、加工のように「材料費+作業時間×単価+諸経費」といった独自の計算で見積を作る会社では、ひな形のExcelから離れられず、管理の問題が残りがちです。

そうした会社では、今のExcelの計算をそのまま組み込んだ見積アプリにすると、作り方は変えずに管理だけを整えられます。見積の状態をどう区切るかは案件ステータスの決め方も参考になります。

見積書の管理をアプリ化する4ステップ

1
直近の見積を
10件集める
計算の仕方と
項目を確かめる
▶
2
品目と単価の
表を作る
担当者ごとの
違いをそろえる
▶
3
状態と
承認を決める
値引きの幅と
次の連絡日
▶
4
新しい見積から
切り替える
過去分は
必要な分だけ移す

見積書の見た目は、今のものに合わせる

取引先が見慣れている見積書の書式を変えると、問い合わせが増えることがあります。出力するPDFは今のExcelのひな形と同じ見た目にして、裏側の管理だけを変えると、社外への影響なく切り替えられます。

最初に集める10件は、計算が一番複雑な見積と、一番よく出す見積を両方含めるようにします。複雑な見積が作れれば、ほかの見積も同じ仕組みで作れます。

Excelで見積を出す場合と、アプリで管理する場合

Excelの見積書の場合
  • 最新版のファイルを探す
  • 単価と値引きが担当者ごとに違う
  • 返事待ちの見積を誰も把握していない
  • 受注後に請求書へ打ち直す
アプリで管理する場合
  • 最新版は常に1つで、過去の版も見られる
  • 同じ単価表から見積を作る
  • 次に連絡する見積が一覧で出る
  • 受注した明細がそのまま請求に回る

見積は、売上の手前にある一番最初の数字です。出した見積をデータとして残せば、受注の見込みや失注の理由まで見えるようになります。まずは直近の見積を10件集めて、担当者ごとに単価や計算の仕方が違っていないかを確かめるところから始めてください。

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