月末に、通帳と請求書の一覧を見比べる作業が続いていませんか

取引先から入金があったら、どの請求書の支払いなのかを確かめて「入金済み」にする。この作業を入金消込(にゅうきんけしこみ)と呼びます。取引先が少ないうちは、通帳やネットバンキングの明細を見ながら、請求書の一覧に印をつけていけば足ります。

ところが取引先が増えると、振込の名義が社名と違う、複数の請求をまとめて払われる、振込手数料を差し引いて振り込まれるといった「そのままでは合わない入金」が増えていきます。一件ごとに経理担当が考えて判断するので、月末から月初にかけて作業が集中し、未入金の確認や督促が遅れる原因になります。

入金消込でよく起きること

  • 振込名義がカナや略称で、どの取引先か分からない
  • 3件の請求をまとめて1回で振り込まれ、内訳が分からない
  • 振込手数料が差し引かれて、請求額と数百円ずれる
  • 消込が終わらないので、未入金の取引先への連絡が遅れる
  • 担当者しか判断の仕方を知らず、休むと止まる

原因は、請求と入金を結びつける「手がかり」が人の記憶にあること

消込が手間になるのは、計算が難しいからではありません。「この名義はあの会社」「この会社はいつも手数料を引いてくる」という手がかりが、担当者の頭の中にしかないからです。毎月同じ判断を、毎月ゼロからやり直しています。

仕組み化のねらいは、こうした手がかりを一度決めたら記録として残し、次からは自動で当てはめることです。そのうえで、自動で合わなかった入金だけを人が確認します。すべてを自動にしようとするのではなく、人が見るべき件数を減らすと考えると進めやすくなります。

請求データと入金明細を突き合わせる 請求データ 取引先・金額・期日 入金明細 銀行のCSVを取り込む ▶ 名義表で照合 名義→取引先 金額と期日で候補を出す ▶ 一致 自動で入金済みに 合わない入金 人が確認する一覧へ 人が判断した結果は名義表に足していき、次の月から自動で当たる

全部を自動にするのではなく、人が見る件数を減らす

入金消込を仕組み化するときに決めておく5つのこと

POINT 1

入金明細の取り込み方を決める

多くのネットバンキングでは、入出金の明細をCSVファイルで取り出せます。明細を手で打ち直さず、ファイルのまま取り込むことが第一歩です。銀行ごとに列の並びが違うので、使っている口座の明細を一度取り出して形を確かめておきます。

POINT 2

振込名義と取引先の対応表を作る

「カ)ヤマダシヨウジ」「ヤマダシヨウジ(カ」のように、同じ取引先でも名義の書き方は揺れます。一度確認した名義を取引先と結びつけて登録しておけば、次からは自動で取引先が分かります。親会社や経理代行会社から振り込まれる取引先も、ここで登録します。

POINT 3

手数料の差引をどこまで認めるか決める

振込手数料を差し引いて支払う取引先があるなら、「差額が数百円以内なら手数料として処理する」のように、許容する範囲と処理の仕方を決めておきます。契約で手数料をどちらが負担するか決まっている場合は、それに合わせます。

POINT 4

まとめ払い・一部入金の扱いを決める

複数の請求をまとめた入金は、同じ取引先の未入金の請求を古い順に当てるなどのルールを決めると、候補を自動で出せます。一部だけの入金は「残額あり」の状態として残し、次の入金や督促につなげます。

POINT 5

未入金の一覧を、消込と同時に作る

消込のもう一つの目的は、支払期日を過ぎても入金がない取引先を早く見つけることです。消込が終わった時点で、期日を過ぎた未入金の請求が一覧で出るようにしておくと、営業担当への連絡や督促がすぐにできます。

請求データが揃っていることが前提

消込を自動にするには、突き合わせる相手の請求データが一覧になっている必要があります。請求書を個別のExcelファイルで作っている場合は、先に請求の発行状況を一覧で持つところから始めます。進め方は請求書の発行状況を一覧で管理する方法で解説しています。

手作業・会計ソフトの機能・自社用の消込アプリの比較

入金消込のやり方を、手間と自社の事情への合わせやすさで比べます。

観点 通帳と一覧を見比べる 会計ソフトの消込機能 自社用の消込アプリ
名義の揺れへの対応 × 毎回人が判断 ◎ 学習する機能が多い ◎ 対応表で自動化
まとめ払い・一部入金 △ 担当者の経験頼み △ 製品により差がある ◎ 自社ルールで設計
請求データとのつながり × 別々に管理 △ そのソフトで請求する場合 ◎ 今の請求の流れに合わせる
始めやすさ ◎ すぐできる ◎ 使っていればすぐ △ 最初に設計が必要

請求書の発行から会計まで同じクラウド会計ソフトで行っているなら、まずはそのソフトの消込機能を使うのが近道です。一方で、請求は販売管理や独自のExcelで作り、会計は別のソフトという会社では、請求データが消込の画面に入ってこないため、結局は手で見比べることになりがちです。

そのような場合は、今の請求データと入金明細をそのまま取り込める消込の仕組みを用意すると、二重の入力をせずに済みます。同じデータを何度も入力しない考え方は二重入力をなくす方法を参考にしてください。

入金消込を仕組み化する4ステップ

1
合わなかった入金を
1か月分集める
どんな理由で
合わないか
▶
2
名義の対応表を
作る
過去の明細から
まとめて登録
▶
3
手数料・まとめ払いの
ルールを決める
経理と営業で
合意する
▶
4
手作業と並べて
1か月試す
結果が一致するか
確かめる

最初に「合わなかった理由」を数える

1か月分の入金のうち、すぐに消込できなかったものを理由ごとに数えると、名義の違いが多いのか、まとめ払いが多いのかが分かります。件数の多い理由から順に仕組みにすれば、少ない手間で効果が出ます。

最初の1か月は、これまでの手作業と仕組みの結果を並べて、同じ請求が同じように入金済みになっているかを確かめます。お金に関わる処理なので、一致を確認してから切り替えると、経理担当も安心して任せられます。

手作業の消込と、仕組み化した消込

手作業の場合
  • 全件を通帳と見比べる
  • 名義の判断が担当者の記憶頼み
  • 月末から月初に作業が集中する
  • 未入金に気づくのが遅れる
仕組み化した場合
  • 合わない入金だけを確認する
  • 名義の対応が記録に残る
  • 明細を取り込めばその日に終わる
  • 期日を過ぎた未入金が一覧で出る

入金消込の仕組み化は、経理の作業時間を減らすだけでなく、未入金に早く気づいて資金繰りを守ることにもつながります。まずは先月の入金明細を取り出し、すぐに消込できなかった入金がどれくらいあったかを数えるところから始めてください。

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