賃上げもしたいし、手作業も減らしたい

最低賃金が上がるたびに人件費は増えるのに、紙やExcelの手作業はそのまま。業務アプリを入れて手間を減らしたいけれど、費用が気になる。そんなときに候補になるのが、厚生労働省の業務改善助成金です。

この記事では、厚生労働省の案内ページと令和8年度のリーフレットに書かれている内容をもとに、業務アプリの導入に使えるのか、どんな条件があるのか、どの順番で進めるのかを整理します。

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この記事の情報について(2026年11月4日時点)

  • 厚生労働省の「業務改善助成金」のページと、令和8年度のリーフレット(R8.4版)をもとにしています
  • 令和8年度の申請期間は、令和8年9月1日から「事業所のある都道府県の地域別最低賃金の発効日の前日」か「11月30日」のどちらか早い日までです。この記事の公開時点で、多くの地域ではすでに受付が終わっている可能性があります
  • 予算の範囲内での交付のため、期間内でも募集が終わることがあります。申請の際は、必ず最新の交付要綱・要領を確認してください

最低賃金の引上げと、生産性を上げる投資をセットで助成する制度

リーフレットでは、業務改善助成金を「事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を50円以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資等を行った場合に、その設備投資等にかかった費用の一部を助成する制度」と説明しています。

業務改善助成金のしくみ賃金の引上げ事業場内最低賃金を50円以上+設備投資等機器・コンサル・システム化費用の一部を助成上限は最大600万円両方の計画を立てて申請し、交付決定を受けてから実施する交付決定の前に導入したものは対象外

賃金の引上げと設備投資等の両方が条件

つまり、業務アプリを入れるだけでは対象にならず、従業員の賃金の引上げとセットにする必要があります。ここが、ITツールの導入費を補助する制度との大きな違いです。

対象になる事業者

  • 中小企業・小規模事業者であること(大企業と密接な関係のある「みなし大企業」でないこと)
  • 事業場内最低賃金が、令和8年度の地域別最低賃金未満であること
  • 解雇や賃金の引き下げなど、不交付の理由がないこと

引上げの対象は、雇入れ後6か月を過ぎた、週の所定労働時間が20時間以上の雇用保険の加入者です。労働者がいない事業場は対象になりません。申請は工場や事務所など事業所ごとで、同じ事業所の申請は年度内1回までです。

「顧客管理情報のシステム化」が対象経費の例に載っている

助成の対象は「生産性向上に資する設備投資等」です。リーフレットに載っている対象経費の例は次のとおりで、システム化も例として挙げられています。

経費の区分リーフレットに載っている例
機器・設備の導入POSレジシステム導入による在庫管理の短縮/リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮
経営コンサルティング国家資格者による、顧客回転率の向上を目的とした業務フロー見直し
その他顧客管理情報のシステム化

パソコン・スマホ・タブレットは原則対象外

アプリを使うための端末については、扱いが分かれます。

助成対象経費一般の事業者特例事業者(物価高騰等要件に該当)
生産性向上に資する設備投資等対象対象
PC・スマホ・タブレット等の端末と周辺機器の新規導入対象外対象(新規導入に限る)

物価高騰等要件は、原材料費の高騰など外的な要因で、申請前6か月間平均の利益率が前年度と比べて3%ポイント以上下がっている事業者が当てはまります。

申請前に労働局へ確認しておきたいこと

  • 導入したい業務アプリが「生産性向上に資する設備投資等」として認められるか
  • 月額制のサービスの場合、利用料のどの期間分までが対象になるか(リーフレットには記載がありません)
  • 見積書や契約書など、申請に必要な書類の形式

問い合わせ先は、業務改善助成金コールセンター(0120-366-440、平日9:00〜17:00)か、事業所を管轄する都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)です。

引上げ額と人数で上限が決まり、費用×助成率と比べて安いほう

助成上限額は、事業場内最低賃金をいくら引き上げるか(コース)と、引き上げる労働者の人数で決まります。令和8年度のリーフレットの表は次のとおりです。

コース引き上げる労働者数事業場規模30人未満の事業者それ以外の事業者
50円コース1人40万円30万円
50円コース2〜3人70万円40万円
50円コース4〜5人/6〜7人70万円/90万円70万円/90万円
50円コース8人以上/10人以上※110万円/130万円110万円/130万円
70円コース1人50万円40万円
70円コース2〜3人100万円50万円
70円コース4〜5人/6〜7人130万円/180万円130万円/180万円
70円コース8人以上/10人以上※230万円/300万円230万円/300万円
90円コース1人100万円90万円
90円コース2〜3人240万円150万円
90円コース4〜5人/6〜7人270万円/360万円270万円/360万円
90円コース8人以上/10人以上※450万円/600万円450万円/600万円

※10人以上の区分は、特例事業者が10人以上の労働者の賃金を引き上げる場合に対象になります。

助成率は、事業場内最低賃金が1,050円未満なら4/5、1,050円以上なら3/4です。支給額は「設備投資等の費用 × 助成率」と「助成上限額」を比べて、安いほうになります。

たとえばリーフレットの例では、事業場内最低賃金が1,040円(助成率4/5)の事業場が、8人を1,130円まで引き上げ(90円コース・上限450万円)、600万円の設備投資等をした場合、600万円×4/5=480万円が上限の450万円を超えるため、支給額は450万円になります。

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交付決定を受けてから、賃上げと導入を進める

1
交付申請
申請書・事業実施計画書を労働局へ
▶
2
交付決定
審査のうえ通知される
▶
3
事業の実施
賃金の引上げ・導入・支払い
▶
4
実績報告
実績報告書と支給申請書を提出
▶
5
助成金の受領
審査後に交付額が確定し振り込み

事業の完了期限は、交付決定を受けた年度の1月31日です。案内ページでは、納品日・支払完了日・賃金引上げ日のうち、いちばん遅い日を事業の完了としています。

賃金の引上げで気をつけること

  • 地域別最低賃金の改定に合わせて引き上げる場合は、発効日の前日までに引き上げる必要がある
  • 引上げ後の事業場内最低賃金と同じ額を、就業規則などに定める
  • 複数回に分けての引上げは認められない

先に契約・導入してしまうと、対象にならない

順番を間違えた場合
  • 助成金を知る前に業務アプリを契約し、使い始めてしまった
  • あとから申請しようとしたが、交付決定前の導入は対象外だった
  • 賃金を上げたのが最低賃金の発効日当日で、要件を満たさなかった
順番を守った場合
  • 導入したいアプリと見積もりを決め、賃上げの計画と一緒に申請した
  • 交付決定の通知を受けてから、契約・導入・支払いをした
  • 発効日の前日までに賃金を引き上げ、就業規則も直した

リーフレットでも「交付決定前に助成対象設備の導入を行った場合は、助成の対象となりません」と強調されています。助成金を使うかもしれないときは、依頼先と話を進める段階で、契約や支払いの時期を交付決定の後にできるかを最初に伝えておくのが安全です。

SHISAKUBAは月額制のサービスのため、助成金の対象になるかどうか、なる場合はどの期間分かを、事前に労働局へ確認していただく必要があります。無料の試作は契約前に行うので、試作で中身を固めてから申請の計画を立てることもできます。

SHISAKUBAの場合は、制作費0円・月額10,000円(税別)からです。サーバーの管理・保守・改修は月額に含まれ、サーバーやストレージ、外部APIなどの利用料は使った量に応じた実費になります。ご利用開始前に、月額と想定実費の合計をお伝えします。

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