見積書を、合計金額だけで比べていませんか
業務アプリの開発を何社かに相談すると、それぞれから見積書が届きます。ところがA社は300万円、B社は120万円、C社は500万円のように金額が大きく違い、どこを比べればよいのか分からないことがよくあります。
金額の違いの多くは、見積に含まれている作業の範囲や、前提にしている条件の違いから生まれます。安い見積を選んだら、後から「それは見積に入っていません」と追加費用を言われた、というのもよくある話です。
見積書の比較でよく起きること
- 会社ごとに金額が何倍も違い、理由が分からない
- 「一式」とだけ書かれていて、中身が見えない
- 契約後に「それは別料金です」と言われる
- 公開後にかかる費用を見落としていた
- 仕様を少し変えたいだけで、大きな追加見積が出る
原因は、金額の「前提」が会社ごとにそろっていないこと
見積書の金額は、「何を作るか」「どこまでやるか」「どんな条件で作るか」という前提の上に乗っています。この前提が会社ごとに違えば、金額を並べても正しく比べられません。
見積書を受け取ったら、まず前提をそろえて読むことが大切です。次の10項目を確かめれば、金額の違いの理由と、後から費用が増えそうなところが見えてきます。そもそもの相場観は業務アプリ開発の相場で解説しています。
金額の前に、3つの前提をそろえて読む
業務アプリ開発の見積書で確認すべき10項目
作る機能と画面の一覧が書かれているか
「業務管理システム開発 一式」だけでは、何が含まれているか分かりません。機能や画面ごとに項目が分かれているかを確かめます。自社が求めた機能が抜けていないか、逆に頼んでいない機能が入っていないかも見比べます。
作業の範囲(どこからどこまでか)が書かれているか
要件の整理、設計、開発、テスト、公開作業、操作の説明、データの移行など、どの作業が見積に含まれているかを確かめます。特にデータの移行と操作の説明は、含まれていないことがよくあります。
前提条件と、含まれないものが書かれているか
「利用者は社内の30名まで」「スマートフォン対応は含まない」「既存システムとの連携は別途」など、見積の前提と対象外のものが書かれているかを見ます。前提が書かれていない見積は、後から追加費用になりやすい部分です。
工数や単価の内訳が分かるか
金額の根拠として、作業ごとの工数(人日・人月)や単価が示されているかを確かめます。内訳があれば、会社ごとの金額の違いがどの作業から来ているかを比べられます。
テストと、公開後の不具合対応の扱い
どこまでテストをするのか、公開後に見つかった不具合を、いつまで無償で直してもらえるか(契約不適合の期間など)を確かめます。ここがあいまいだと、公開直後の修正に費用がかかることがあります。
公開後にかかる費用(保守・サーバー・ライセンス)
開発費とは別に、保守費、サーバーやクラウドの利用料、有料の部品やサービスのライセンス料が毎月・毎年かかることがあります。数年使った場合の合計で比べると、開発費が安くても総額が高くなるケースが見えてきます。
仕様を変えたいときのルール
開発の途中で「この項目を足したい」となるのはよくあることです。どこまでが見積の範囲内の調整で、どこからが追加費用になるか、追加のときはどう見積もるかが決まっているかを確かめます。要件が膨らむのを防ぐ考え方は要件が後から増えていくのを防ぐ進め方で解説しています。
スケジュールと支払いの条件
いつまでに何ができるのか、支払いは着手時・納品時など何回に分かれるのかを確かめます。自社側で用意するもの(資料の提供や確認の期限など)が遅れたときの扱いも、あわせて見ておくと安心です。
作ったものの権利と、データの取り出し方
作ったプログラムの権利がどちらにあるか、将来ほかの会社に保守を頼むときに、ソースコードやデータを引き継げるかを確かめます。どちらの形がよいかは費用とのかね合いもあるので、良し悪しではなく、自社の方針と合っているかで判断します。
契約の形(請負か準委任か)
完成したものを納めてもらう請負と、作業の時間に対して支払う準委任では、責任の範囲や費用の決まり方が違います。見積がどちらの前提で出されているかを確かめ、自社の進め方に合っているかを見ます。
分からない項目は、そのまま質問してよい
見積書に書かれていない項目は、「この見積にデータ移行は含まれますか」のように、そのまま質問してかまいません。質問への答え方や早さも、開発会社を選ぶときの大事な材料になります。
よくある3つの見積書の比較
同じ相談に対して届きやすい3つのタイプの見積書を、確認のしやすさで比べます。
| 観点 | 「一式」だけの見積 | 機能ごとの内訳がある見積 | 内訳+前提条件まで書かれた見積 |
|---|---|---|---|
| 金額の根拠 | × 分からない | ◎ 機能ごとに分かる | ◎ 機能ごとに分かる |
| 他社との比較 | × できない | △ 前提が違うと難しい | ◎ 前提をそろえて比べられる |
| 追加費用の見通し | × 後から出やすい | △ 対象外の範囲が不明 | ◎ 対象外が分かる |
| 受け取ってからの手間 | △ 質問が多くなる | △ 前提を確認する | ◎ 読めば分かる |
前提条件まで書かれた見積は、金額が高く見えることがありますが、それは後から出てくるはずの費用が最初から見えているからかもしれません。金額だけでなく、どこまで書かれているかで比べることが大切です。
そもそも各社の見積の前提をそろえるには、依頼する側が同じ内容の依頼書を渡すのが近道です。書き方は業務アプリを外注するときの依頼書(RFP)の書き方を参考にしてください。
見積書を受け取ってから発注先を決めるまでの4ステップ
見積を読む
項目に印をつける
質問する
質問を送る
総額で比べる
保守・利用料
確かめる
中身を確認
文字だけで判断しきれないときは、画面で確かめる
見積書の機能一覧を読んでも、実際の使い勝手までは分かりません。画面の案や試作品を見せてもらえるかを相談すると、思っていたものと違うというずれを、契約の前に見つけられます。
見積の比較とあわせて、開発会社そのものの選び方も確かめておくと安心です。見るべき点はアプリ開発会社の選び方で解説しています。
金額だけで比べる場合と、10項目で確認する場合
- 安い見積を選んで追加費用が出る
- 公開後の費用を見落とす
- 仕様を変えるたびに揉める
- 保守先を変えたくても変えられない
- 金額の違いの理由が分かる
- 数年分の総額で比べられる
- 変更のときのルールが先に決まる
- 将来の引き継ぎまで見通せる
見積書は、開発会社が「何を、どこまで、どんな条件で作るか」を約束する書類です。金額を比べる前に10項目で前提をそろえ、分からないところは遠慮なく質問してから決めてください。
見積の前に、動く試作品で中身を確かめられます
SHISAKUBAは、見積書の文字だけで判断するのではなく、実際に触れる試作品で必要な機能と範囲を一緒に確かめてからご提案します。
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