作業の記録が、手帳とカレンダーと頭の中に分かれていませんか

今日はどの畑で何をしたか、どの農薬をどれだけ使ったか、どこに何ケース出したか。農業の仕事では毎日たくさんの記録が生まれますが、手帳、壁のカレンダー、出荷伝票の控えにばらばらに残っていることが少なくありません。

家族だけで回しているうちはそれでも困りませんが、従業員やパートさんが増えたり、取引先から栽培の記録を求められたりすると、あとから探して書き写す手間が一気に増えます。この記事では、作業の記録と出荷の記録をスマホで入力できる形にまとめる方法を整理します。

記録がばらばらなときに起きること

  • 農薬をいつ使ったか、帳簿を見返さないと分からない
  • 取引先に栽培記録を出すたびに、手帳から書き写している
  • ほ場(畑)ごとの作業時間や収量が分からない
  • 出荷先ごとの数量や金額を、月末にまとめて計算している

農業で記録しておきたい3つの情報

農業の記録は大きく分けると、作業の記録・農薬や肥料の使用記録・出荷の記録の3つです。どれも「どのほ場の、どの作物の話か」でつながっています。

農業の記録のつながり 作業の記録 いつ・どのほ場で 誰が・何をしたか 農薬・肥料の記録 何を・どれだけ どの作物に使ったか 出荷の記録 いつ・どこに 何を・いくつ出したか ▶ ▶ 3つを「ほ場」と「作物」でつなぐと、あとから集計できる

作業・資材・出荷を、ほ場と作物を軸にまとめる

このうち農薬の使用記録については、農林水産省・環境省の「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令」で、農薬を使ったときに次の事項を帳簿に記載するよう努めなければならないとされています(努力義務)。

帳簿に記載するよう努める事項(省令第9条)

  • 農薬を使用した年月日
  • 農薬を使用した場所
  • 農薬を使用した農作物等
  • 使用した農薬の種類又は名称
  • 使用した農薬の単位面積当たりの使用量又は希釈倍数

条文の内容は農林水産省のページに掲載されています。最新の内容は公式の情報でご確認ください。取引先やGAPの取り組みで、これ以外の項目を求められることもあります。

アプリにするときに決めておきたい4つの項目

項目 1

ほ場(畑)の一覧

記録の軸になるのがほ場です。名前・場所・面積を先に登録しておくと、作業や農薬の記録で選ぶだけになり、単位面積当たりの使用量も計算しやすくなります。

項目 2

作物と作付け

どのほ場に、いつ、何を植えたか。同じほ場でも作付けが変わるので、作付けごとに記録をまとめると、作物ごとの作業や収量が見えるようになります。

項目 3

作業と資材の記録

作業の種類(耕うん・定植・防除・収穫など)、担当、時間、使った農薬や肥料と量。選択肢から選んで数字だけ入れる形にすると、畑でも手早く入力できます。

項目 4

出荷の記録

出荷日、出荷先(農協・市場・直売所・取引先など)、品目、規格、数量。出荷先と品目を選ぶだけにしておくと、月ごと・出荷先ごとの集計が自動で出せます。

紙・Excel・アプリの記録を比べる

観点 紙の日誌・帳簿 Excel 業務アプリ
始めやすさ ◎ すぐ始められる ○ パソコンがあれば作れる △ 準備が必要
畑での入力 △ 戻ってから書くことが多い × 事務所でしか入れにくい ◎ その場でスマホから入れる
複数人での記録 △ 1冊を回す × 同時に触ると壊れる ◎ それぞれのスマホから入れる
栽培記録の提出 × 書き写す △ 必要な行を探して整える ◎ ほ場・期間で絞って出せる
出荷の集計 × 電卓で計算 ○ 関数で集計できる ◎ 出荷先別・月別に自動で出る

家族だけで、ほ場も作物も少ないなら、紙やExcelで十分です。従業員が増えた、ほ場が増えた、取引先に記録を出す機会が増えたといったタイミングで、スマホ入力の仕組みに切り替えると効果が出やすくなります。スマホで入力する画面の作り方は紙の日報をスマホ入力へ変えるときの設計ポイントも参考にしてください。

作業記録と出荷管理をアプリ化する4ステップ

1
今の記録を
集める
手帳・帳簿・
伝票の控え
▶
2
ほ場と作物を
登録する
記録の軸を
先に作る
▶
3
入力を
選ぶだけにする
畑で30秒で
終わる画面に
▶
4
出したい帳票
から逆算
提出用・集計用
の形を決める

最初に決めるのは、最後に何を出したいかです。取引先に出す栽培記録の様式、出荷先ごとの月次の集計など、出口が決まると、入力しておくべき項目がはっきりします。項目を欲張ると畑で入力されなくなるので、まずは必要な項目だけに絞ります。

記録がばらばらな場合と、アプリにまとめた場合

記録がばらばらな場合
  • 農薬の使用履歴を手帳から探す
  • 栽培記録の提出に半日かかる
  • ほ場ごとの手間や収量が分からない
  • 月末に出荷の集計をまとめてする
アプリにまとめた場合
  • ほ場を選べば使用履歴が出る
  • 期間を選んで記録を出せる
  • ほ場・作物ごとに作業時間が見える
  • 出荷先別の数量が日々たまっていく

農業の記録は、ほ場と作物を軸にして、作業・資材・出荷を同じところに残すのが基本です。畑でスマホから選ぶだけで記録できる形にすると、書き写しや月末の集計の手間が減り、来年の作付けを考えるときの材料にもなります。

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