同じキズなのに、検査員によって合否が違う
製品の表面に小さなキズがある。ベテランの検査員は合格にするが、新しく入った人は不合格にする。お客さまから返品されたものを見ても、社内では「これくらいなら大丈夫だと思っていた」という声が出る。
この記事では、外観検査の判定をそろえるための限度見本について、作り方と管理のしかた、判定の基準を共有する仕組みを整理します。基準の決め方はお客さまとの取り決めによって変わるため、ここでは一般的な考え方として紹介します。
外観検査でよくある困りごと
- 合否の判定が検査員によって違う
- 言葉の基準(「目立つキズ」など)が人によって受け取り方が違う
- 限度見本が古くなっている、または見つからない
- お客さまと社内で、合格の範囲がずれている
合格と不合格の境目を、実物で示したもの
限度見本(げんどみほん)は、外観検査で「ここまでなら合格」「これを超えたら不合格」という境目を、実物の製品や部品で示した見本です。キズ・汚れ・色むら・バリなど、数字だけでは決めにくい項目の判定をそろえるために使います。
限度見本の考え方
お客さまに納める製品では、限度見本をお客さまと一緒に決めて、双方が承認した形にすることもあります。部品を受け入れる側で使う場合の考え方は受入検査で扱っています。
限度見本の作り方と、台帳に残す項目
限度見本は、実際に出た不良品や、合格と不合格の境目にあたる製品を集めて作ります。1つの見本に1つの項目(キズならキズだけ)を示すようにすると、判定に迷いにくくなります。
| 項目 | 書く内容 | 記入例 |
|---|---|---|
| 見本の番号 | 見本ごとの番号(実物にも付ける) | GM-023 |
| 製品・部位 | どの製品の、どの面か | カバーA 正面 |
| 項目と限度 | 何を、どこまで許すか | 線キズ 長さ3mm以下は合格 |
| 見る条件 | 明るさ・距離・時間 | 白色の照明の下、30cm離して3秒 |
| 承認 | 誰が承認したか(お客さまを含む) | 品質課長・お客さま品証 承認済み |
| 有効期限・保管場所 | 見直す時期と置き場所 | 2027年10月まで / 検査室 棚B |
見本は日焼けや汚れ、取り扱いのキズで変わっていくことがあります。有効期限を決めて、期限が来たら状態を確かめ、作り直すか延ばすかを判断します。
見本が1つしかなく、検査の場所にない
| 項目 | 実物と紙 | Excelの台帳 | アプリ(写真+データ) |
|---|---|---|---|
| 見本の場所 | 検査室にしかない | 台帳で場所はわかる | 写真をどの検査場所でも見られる |
| 最新かどうか | 古いものが混ざる | 版の管理が手作業 | 承認した版だけを表示 |
| 有効期限 | 気づかない | 見に行かないとわからない | 期限が近いと知らせる |
| 判定の記録 | 残らない | 別のファイル | どの見本で判定したかが残る |
実物の見本は1つしかないことが多く、ほかの工場や外注先、夜勤の検査員には届きません。実物を正としながら、同じ条件で撮った写真をどこでも見られるようにすると、判定のばらつきを減らせます。
判定の基準を共有できる形にする4ステップ
見る条件までそろえる
同じ見本でも、明るさや見る距離で判定が変わります。見る条件も見本と一緒に決めておきます。
迷ったものを集め続ける
判定に迷った製品は捨てずに写真を残し、見本を増やすかどうかを話し合う材料にします。
誰が検査しても、同じ判定になる
- 合否が検査員の経験で変わる
- 見本が古いまま使われる
- 夜勤や外注先に基準が伝わらない
- 検査の画面で見本の写真を見ながら判定できる
- 有効期限が近い見本を知らせてくれる
- どの見本で判定したかが記録に残る
限度見本で判定した結果は、出荷するときの検査成績書の記録にもつなげられます。
外観検査の判定基準を、写真で共有できる形にしませんか?
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