「去年のあのロットの成績書、出せますか?」

取引先から、過去に納めた製品の検査成績書を急いで出してほしいと頼まれる。紙のファイルを何冊もめくり、Excelのファイルを日付で探し、見つかったと思ったら手書きの数字が読めない。品質管理の担当者なら、一度は経験があるのではないでしょうか。

この記事では、検査成績書の役割と書く項目、紙やExcelで管理したときの困りごと、現場の負担を増やさずにデータへ切り替える手順を整理します。

検査成績書まわりでよくある困りごと

  • 測定値を紙に書き、あとでExcelに打ち直している
  • 取引先ごとに様式が違い、同じ数字を何度も書いている
  • 過去の成績書を探すのに時間がかかる
  • 規格外の数値を見落としたまま出荷してしまう

検査成績書とは、検査の結果と合否を示す書類

検査成績書(けんさせいせきしょ)とは、製品や材料を検査した結果を記録し、決められた規格を満たしているかを示す書類です。「検査成績表」「試験成績書」などとも呼ばれ、製品と一緒に、または求めに応じて取引先へ提出することが多い書類です。

社内の検査記録をもとに作りますが、取引先に「この製品は規格どおりです」と示す証拠になる点が大きな違いです。そのため、様式や記載項目は取引先の要求や業界の規格で決まっていることがよくあります。実際の様式は、取引先との取り決めを確認してください。

検査成績書の中身(イメージ) 品名:シャフト A-120 ロット:2026-1014-03 検査日:10/14 検査者:山田 検査項目 規格値 測定値 判定 外径 20.00 ± 0.05 20.02 合格 全長 120.0 ± 0.2 119.9 合格 外観 傷・打痕なし 傷あり 不合格 規格値と測定値を並べ、項目ごとに合否を示すのが基本の形

検査成績書の基本の形:規格値・測定値・判定を項目ごとに並べる

検査成績書に書く主な項目

様式は会社や取引先によって違いますが、多くの検査成績書には次の項目が入っています。

検査成績書の主な項目

  • 発行日・発行者(会社名・部署・担当者)と提出先
  • 品名・品番・図面番号(版数)
  • ロット番号・製造番号と数量
  • 検査日・検査者・承認者
  • 検査項目ごとの規格値(公差)と測定値
  • 項目ごとの判定と、全体の合否
  • 使った測定器(番号)や検査の方法・抜き取り数

あとから問い合わせを受けたときに役立つのは、ロット番号と使った測定器の記録です。どのロットを、どの道具で測ったかがわかれば、不具合が見つかったときに影響の範囲を絞り込めます。

紙・Excel・アプリでの管理を比べると

検査成績書は、現場で測って書く作業と、事務所で清書して提出・保管する作業に分かれます。どの方法で管理するかで、手間のかかる場所が変わります。

項目紙Excelアプリ(データ)
現場での記入手書きで速い現場にパソコンが必要タブレットで入力
規格外の見落とし目で確認するしかない条件付き書式で色を付けられる入力した瞬間に自動で判定
取引先ごとの様式書き直しが必要シートを作り分ける同じデータから様式ごとに出力
過去の検索ファイルをめくって探すファイル名や日付で探す品番・ロットで検索
転記の手間清書が必要紙から打ち直すことが多いなし

Excelは便利ですが、現場で手書きした数字をあとで打ち直していると、転記ミスと二重の手間が残ります。紙をなくすこと自体より、測った人がその場で入力できるかどうかが分かれ目です。

紙・Excelからデータへ切り替える4ステップ

いきなり全製品を切り替えると現場が混乱します。提出の多い製品から順に進めるのがおすすめです。

1
今の様式を集める
取引先ごとの様式と項目を洗い出す
▶
2
規格値を登録
品番ごとに検査項目と公差を登録
▶
3
現場で入力
タブレットで測定値を入れ、自動で判定
▶
4
出力と検索
様式ごとに書き出し、ロットで探せる
ポイント 1

入力画面は現場の検査の順番に合わせる

測る順番と画面の項目の順番がずれていると、入力の手が止まります。今の紙の記録用紙と同じ並びから始めると定着しやすくなります。

ポイント 2

規格外はその場で知らせる

公差を外れた値を入れたら、画面の色を変えて知らせます。出荷前に気づけることが、データ化のいちばんの効果です。

ポイント 3

押印やサインのルールを先に決める

承認をどう残すかは取引先との取り決めにも関わります。電子での承認でよいか、紙に出して押印するかを事前に確認しておきます。

データで管理すると、何が変わるか

紙・Excelで管理している場合
  • 現場で手書きし、事務所でExcelに打ち直す
  • 取引先ごとに同じ数字を別の様式へ書き写す
  • 過去の成績書はファイルをめくって探す
  • 規格外の値は、人が見て気づくしかない
データで管理した場合
  • 現場で入力した値がそのまま成績書になる
  • 1つのデータから取引先ごとの様式で出力できる
  • 品番やロット番号で、過去の成績書をすぐ出せる
  • 規格外の値は入力した時点で自動で知らせる

製造現場の書類をまとめて電子化する考え方は製造指示書・作業指示書を電子化する方法、手書きの記録をスマホやタブレットに置きかえるときの注意点は紙の日報をスマホ入力へ変えるときの設計ポイントでも紹介しています。

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