不良報告書を書いたのに、同じ不良がまた出る

不良が出るたびに報告書は書いている。けれど、原因の欄は「確認不足」「注意不足」で埋まり、対策は「今後気をつける」。しばらくすると同じ不良がまた出る。報告書が、出すこと自体が目的になってしまうと、こうしたことが起きます。

この記事では、不良報告書(不適合報告書)に書く項目、原因と対策の書き方、再発を防ぐための記録の残し方、紙やExcelからアプリに切り替えるときの手順を整理します。

不良報告書でよくある困りごと

  • 原因が「不注意」で終わり、対策が具体的でない
  • 対策をしたあと、効いたかどうかを確認していない
  • 報告書が紙やファイルで散らばり、過去の不良を探せない
  • 同じ不良が何度出ているか、数えられない

不良の内容・原因・対策を記録し、再発を防ぐための書類

不良報告書は、製品やサービスに不良(決められた要求を満たさないこと)が見つかったときに、何が起きて、どう処置し、なぜ起きて、どう再発を防ぐかを記録する書類です。品質マネジメントの用語では、要求を満たさないことを「不適合」と呼ぶため、不適合報告書と呼ぶ会社もあります。

不良報告書の欄の並び(記入例のイメージ) 発生日・発見者 10月16日 検査工程 山田 品目・ロット・数量 ブラケットA / ロット1016-03 / 不良12個 不良の内容 穴位置が図面より0.5mmずれている(写真3枚) 応急処置 同ロットを全数検査し、不良品を隔離 原因 治具の固定ねじの緩み(4Mのうち「機械」) 再発防止策 始業時に治具の点検を追加 / 点検表を更新 効果の確認 11月末まで同じ不良がないかを確認する

「何が起きたか」から「再発していないか」まで、1枚の流れで書く

ISO 9001を取得している会社では、規格の「不適合及び是正処置」(ISO 9001:2015の箇条10.2)で、不適合の内容・とった処置・是正処置の結果を記録として残すことが求められています(正確な要求事項は規格の原文で確認してください)。何をどこまで書くかは、自社の品質マニュアルや審査機関の指摘に合わせて決めてください。取引先から指定の様式がある場合は、そちらに従います。

不良報告書に書く主な項目

不良報告書の主な項目

  • 発生日・発見した工程・発見者
  • 品目・ロット番号・不良の数量
  • 不良の内容(写真や測定値も添える)
  • 応急処置(不良品の隔離・選別・手直しなど)
  • 原因と、その調べ方
  • 再発防止策と、その期限・担当者
  • 効果の確認(いつまでに、何を見て判断するか)

特に大事なのは、ロット番号と効果の確認です。ロット番号があれば、同じ材料や同じ日に作った製品に影響が広がっていないかを調べられます。ロットの記録の残し方はロット管理とは?で紹介しています。

「不注意」で終わらせない原因の書き方

項目よくある書き方再発を防げる書き方
原因作業者の確認不足→治具の固定ねじが緩んでいて、穴位置がずれた
なぜ起きたか(書かれていない)→ねじの点検が、どの点検表にも入っていなかった
対策今後は注意して作業する→始業時の点検表に、治具のねじの確認を追加する
効果の確認(書かれていない)→11月末まで同じ不良が出ないかを検査記録で確認する

原因を考えるときは、人(Man)・機械(Machine)・材料(Material)・方法(Method)の4Mに分けて見ると、人のせいだけで終わりにくくなります。「なぜ」を何度か繰り返して、仕組みで防げるところまで掘り下げるのが目安です。

検査で見つかった不良であれば、検査の記録とつなげておくと、あとから追いやすくなります。検査記録の残し方は検査成績書とは?で紹介しています。

紙・Excelで不良報告書を管理すると

項目紙Excelアプリ(データ)
写真の添付印刷して貼るファイルに貼ると重くなるスマホで撮ってそのまま添付
過去の不良の検索ファイルをめくって探すファイルごとに開いて探す品目・原因・期間で絞り込める
件数の集計手で数える集計用の表を別に作る原因別・工程別の件数を自動で出せる
対策の期限管理書いたまま忘れられる誰かが見ないと気づかない期限が近い対策を担当者に知らせる
承認の流れ回覧で止まりやすいメールでやり取り画面で承認し、履歴が残る

不良報告書は、1枚ずつ見るより集めて数えたときに価値が出る書類です。どの工程で、どの原因の不良が多いかがわかれば、対策の優先順位を決められます。

不良報告をアプリにする4ステップ

1
今の様式を集める
報告書の様式と、過去の記入例を集める
▶
2
選べる項目を決める
工程・不良の種類・原因(4M)を一覧に
▶
3
現場で書ける形に
スマホで写真を撮り、選んで入力
▶
4
集計と期限を見る
原因別の件数と、対策の期限を一覧に
ポイント 1

不良の種類と原因は、選ぶ形にする

自由に書くと、同じ不良でも書き方がばらばらになり、数えられません。よくある種類と原因を一覧にしておき、当てはまらないときだけ自由記入にします。

ポイント 2

発見したその場で書けるようにする

あとで事務所で書くと、写真や数量があいまいになります。現場でスマホから最初の報告だけ出し、原因と対策は後から追記する流れにします。

ポイント 3

効果の確認を「閉じる条件」にする

効果の確認が済むまで報告書を完了にできないようにすると、対策のやりっぱなしを防げます。

不良報告がデータになると、何が変わるか

紙・ファイルで管理する場合
  • 原因が「不注意」で終わりやすい
  • 対策が効いたか確認しないまま終わる
  • 過去に同じ不良があったか探せない
  • どの工程の不良が多いか数えられない
アプリで不良報告を管理する場合
  • 4Mから原因を選び、仕組みの問題に目が向く
  • 効果の確認まで済ませないと閉じられない
  • 品目や原因で過去の不良をすぐ探せる
  • 原因別・工程別の件数から、対策の順番を決められる

製造業の業務全体は製造業向け業務アプリ、紙の書類からの切り替え方は紙の日報をスマホ入力へ変えるときの設計ポイントでも紹介しています。

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