使いたい金型がどこにあるか、すぐにわからない

段取り替えの時間になって金型を取りに行くと、いつもの棚にない。修理に出したのか、別のラインで使っているのか、誰も覚えていない。打ち続けた金型にバリが出始めてから、前回いつ手入れしたかを台帳で探す。金型を多く持つ工場ほど、こうした手間が積み重なります。

この記事では、金型管理で押さえておきたい項目と、ショット数で保全の時期を決める考え方、紙・Excelの金型台帳を現場で更新できる形に変える手順を整理します。設備全体の点検の記録は設備点検表・保全記録の作り方で紹介しているので、ここでは金型に絞ります。

金型管理でよくある困りごと

  • 金型の置き場所が台帳と合っていない
  • ショット数を数えていない、または月末にまとめて書く
  • 前回の手入れ・修理の内容がわからない
  • 取引先から預かっている型と自社の型が混ざっている

金型ごとの「どこに・何回・どんな状態か」をわかるようにすること

金型管理は、金型1つずつについて所在(どこにあるか)・使用回数(ショット数)・保全の履歴・持ち主をわかる状態にしておくことです。プレス・射出成形・鋳造・鍛造など、型を使う製造業で必要になります。

金型1つずつに、4つの情報をひもづける所在棚番・ライン・修理中ショット数累計と前回保全から保全の履歴手入れ・修理の内容持ち主自社型・預かり型金型台帳(型番ごとに1件)保全の時期と置き場所がすぐわかる

金型台帳にひもづける情報

金型は高価で、作り直すと時間もかかります。壊れてから直すのではなく、使った回数を見て手入れの時期を決めることで、不良や急な停止を減らせます。

金型台帳に書く主な項目

項目書く内容記入例使い道
型番・品番金型の番号と、作る製品K-0312・品番A-1023品番から使う型を探す
持ち主自社の型か、取引先から預かった型か預かり型(B社)保管・廃棄の取り扱いを分ける
所在棚番やライン、修理中など第2倉庫・棚C-4取りに行く場所がわかる
ショット数累計と、前回の保全からの回数累計182,400・保全後12,300保全の時期の判断
保全の目安手入れ・点検をする回数の目安2万ショットごとに手入れ時期が近い型の一覧
保全・修理の履歴日付・内容・担当・費用10/20 パーティング面研磨不良との関係をたどる

保全の目安の回数は、型の構造・材質・作る製品によって大きく違います。最初は型メーカーの目安や、これまでの修理の記録から決め、実績を見て直していくのが現実的です。

預かり型を扱うときに決めておくこと

  • 自社の型と分けて登録し、持ち主を必ず書く
  • 保管の期間と費用の扱いを取引先と取り決める
  • 使わなくなった型の返却・廃棄の手順
  • 取り決めの内容は書面で残す

預かり型の保管については、取引の条件によって法律上の扱いが関わることもあります。取引先との取り決めや、最新の制度は公式の情報で確認してください。

紙・Excelで金型を管理すると

項目紙Excelアプリ(データ)
所在の更新移動しても台帳が直らない事務所に戻ってから更新移動したその場で更新
ショット数月末に設備のカウンターを書き写す手入力で転記日報の数量や設備から足し込む
保全の時期台帳を見ないと気づかない条件付き書式を誰かが見る目安が近づいた型を知らせる
履歴をたどる紙をめくって探すシートが年ごとに分かれる型番から全部の履歴が見られる

金型の交換や修理は、品質に影響する変更でもあります。変更の記録の残し方は4M変更とはで紹介しています。

金型台帳を現場で更新できる形にする4ステップ

1
今ある型を登録する
型番・持ち主・所在を棚ごとに確認
▶
2
保全の目安を決める
ショット数か期間で型ごとに
▶
3
現場で更新する
移動・保全をスマホから記録
▶
4
時期の近い型を見る
保全の予定を週ごとに確認
ポイント 1

最初の棚卸しで台帳を正す

台帳と実物がずれたままデータにしても使われません。最初に一度、棚ごとに実物を見て所在を合わせます。

ポイント 2

ショット数は日報から足す

作業日報の数量と使った型を結びつけると、ショット数を別に書かなくても累計できます。

ポイント 3

型に番号札やQRを付ける

型を読み取って所在や保全を記録できると、入力の手間と書き間違いが減ります。

金型台帳がデータになると、何が変わるか

紙・Excelの場合
  • 型を探して歩き回る
  • 保全の時期に気づかない
  • 修理の履歴が人の記憶頼み
  • 預かり型の扱いがあいまい
アプリで管理した場合
  • 型番を引けば置き場所がわかる
  • 保全が近い型が一覧に出る
  • 型ごとの履歴と費用がたどれる
  • 持ち主ごとに分けて管理できる

金型の交換にかかる時間を短くする考え方は段取り替えとはで扱っています。型を探す時間は段取り時間に含まれるため、所在がわかるだけでも段取りが短くなります。

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