生産計画が変わるたびに、部品の手配をやり直している
来月の生産計画が決まると、担当者が部品表を見ながら必要な部品を一つずつ数え、在庫を確かめて発注する。計画が途中で変わると、また最初から数え直す。気づいたときには、ある部品だけが足りずにラインが止まりそうになっている。
この記事では、MRP(資材所要量計画)の考え方と、所要量の計算手順、Excelで回すときに起きやすい問題を整理します。受注のたびに製造番号で部品をひもづける考え方は製番管理で扱っているので、ここでは計画から部品の数を計算する方法に絞ります。
部品の手配でよくある困りごと
- 計画が変わるたびに手で数え直している
- 共通の部品が、製品ごとに別々に発注されている
- 在庫があるのに発注してしまう/ないのに発注し忘れる
- リードタイムの長い部品だけが間に合わない
生産計画から、いつ・何を・いくつ用意するかを計算する方法
MRP(Material Requirements Planning、資材所要量計画)は、製品の生産計画と部品表、在庫の情報から、必要な部品や材料を「いつ・何を・いくつ」用意すればよいかを計算する方法です。見込みで作る製品や、同じ部品を多くの製品で使う会社でよく使われます。
MRPに必要な情報
計算の土台になるのは部品表(BOM)です。部品表が実際の作り方とずれていると、計算した数もずれます。
総所要量から正味所要量を出し、リードタイム分さかのぼる
計算は、おおまかに次の順番で進めます。製品1個にネジを4本使い、来月の第2週に製品を100個作る計画の場合で考えてみます。
| 手順 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 1. 総所要量 | 生産計画の数 × 部品表の使用数 | 100個 × 4本 = 400本 |
| 2. 引けるものを確かめる | 今の在庫と、すでに発注済みで届く予定の数 | 在庫150本・入荷予定100本 |
| 3. 正味所要量 | 総所要量 − 在庫 − 入荷予定(安全在庫を残す場合はその分を足す) | 400 − 150 − 100 = 150本 |
| 4. ロットにまとめる | 発注の単位や最小の数に合わせる | 500本単位 → 500本 |
| 5. 手配の時期 | 使う日からリードタイム分さかのぼる | リードタイム2週間 → 今月の第4週に発注 |
部品がさらに子の部品からできている場合は、親の正味所要量をもとに、同じ計算を子の部品にも繰り返します。段数が増えるほど、手で数えるのは難しくなります。
計算の式より、元のデータの古さで間違える
| 項目 | 手計算 | Excel | アプリ(データ) |
|---|---|---|---|
| 部品表 | 紙の図面や台帳 | 製品ごとに別ファイル | 1か所にまとめて全製品で共通 |
| 在庫・入荷予定 | 倉庫に確認 | 別のファイルから転記 | 最新の数を自動で使う |
| 計画の変更 | 最初から数え直す | 数式を直すと壊れやすい | 計画を変えると再計算 |
| 共通部品 | 製品ごとに別々に数える | 集計が手作業 | 部品ごとに合計して手配 |
ExcelでMRPを回すときにつまずくのは、計算の式よりも部品表・在庫・入荷予定のデータが別々のファイルにあり、どれかが古いことです。データがそろっていない状態で計算を自動にしても、間違った数が早く出るだけになります。
MRPを回せる形にする4ステップ
全部の製品から始めない
まずは部品の数が多い製品や、欠品で困っている製品だけで計算し、結果を担当者の感覚と比べます。
リードタイムは実績で直す
仕入先が言う日数と、実際に届くまでの日数はずれることがあります。届いた日を記録して、計算に使う日数を見直します。
計算結果は人が確かめる
最初のうちは、計算した手配の案を担当者が見てから発注します。おかしな数が出たら、部品表や在庫のどこがずれているかを直すきっかけになります。
計画を変えても、手配の案がすぐに出る
- 計画の変更のたびに部品を数え直す
- 共通部品を製品ごとに発注してしまう
- リードタイムの長い部品が間に合わない
- 計画を直すと、部品ごとの手配の案が出る
- 共通部品は合計した数で手配できる
- いつまでに発注すればよいかが部品ごとにわかる
計算の前提になる生産計画の作り方は生産計画表の作り方で扱っています。
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