「この注文、結局いくら儲かったのか」がわからないまま

一品ものや受注生産の仕事で、注文ごとの材料費や作業時間がわからない。見積は出したものの、実際にかかった費用と比べられないので、どの仕事が赤字だったのかが月末になってもはっきりしない。注文と材料・作業の記録が番号でつながっていないと、こうなりがちです。

この記事では、製番管理とは何か、MRP(所要量計算)やロット管理との違い、向いている会社、紙やExcelからアプリにするときの手順を整理します。番号の付け方や呼び方(製番、製造番号、工番など)は会社によって異なるため、ここでは一般的な考え方として紹介します。

注文ごとの管理でよくある困りごと

  • 注文ごとにかかった材料費・作業時間がわからない
  • どの材料がどの注文のために買ったものか、あとで追えない
  • 注文の進み具合を聞かれても、すぐに答えられない
  • 見積と実際の差がわからず、次の見積に活かせない

注文ごとに番号を振り、材料・作業・出荷・原価をその番号で結びつける

製番管理は、受注した注文(または作る製品)ごとに製造番号を振り、その注文のための材料の手配、作業の実績、出荷、かかった費用を、すべてその番号に結びつけて管理するやり方です。番号を見れば、その注文に関わる記録をまとめて引き出せるようにします。

製番管理のイメージ(1つの注文に番号を振り、すべてをその番号でつなぐ)受注納期・数量材料・部品の手配発注・引当作業の実績工程・作業時間出荷・請求納品書・請求書製番 A-1024(製造番号)製番ごとの原価・利益

受注から出荷までの記録を製番でつなぐと、注文ごとの原価と利益が見えるようになる

会計の個別原価計算で、製造指図書の番号ごとに原価を集める考え方と近いものです。製造指図書の役割は製造指図書とはで詳しく紹介しています。

製番管理と、MRP(所要量計算)・ロット管理の違い

方法製番管理MRP(所要量計算)ロット管理
何の単位で管理するか注文(製番)ごと品目ごとに必要な数を合算同じ条件で作ったまとまりごと
材料の手配注文ごとに引き当てる全体の必要数から計算してまとめて手配手配の方法とは別の考え方
主な目的注文ごとの進み具合と原価をつかむ在庫を持ちすぎず、欠品も防ぐ品質のさかのぼり(トレーサビリティ)
向いている生産個別受注生産・一品もの繰り返し生産・見込み生産食品・部品など、追跡が必要なもの

製番管理とMRPはどちらか一方を選ぶものではなく、主な製品は製番で、共通部品はMRPで、というように組み合わせる会社もあります。品質のさかのぼりに使うロット番号は、製番とは目的が違う番号です。詳しくはロット管理とはをご覧ください。

製番管理の向き・不向き

  • 向いている:注文ごとに仕様が違う、注文ごとの採算を知りたい、納期を注文単位で約束する
  • 注意が必要:共通部品も注文ごとに引き当てるため、注文の取り消しや変更で、行き場のない在庫が残りやすい
  • 注意が必要:注文の数が多い繰り返し生産では、番号ごとの管理の手間が大きくなる

紙・Excelで製番管理をすると

項目紙Excelアプリ(データ)
番号の書き込み伝票ごとに手書きし、書き間違いが起きるシートごとに入力し直す受注時に番号を振り、その後の画面に引き継ぐ
材料費の集計発注伝票を製番ごとに仕分ける関数で集計するが、入力漏れに弱い発注時に製番を選べば自動で集まる
作業時間の集計日報から拾って手計算日報の転記が必要作業の実績を製番で入力し、そのまま集計
進み具合の確認現場に聞きに行く更新が遅れがち製番で検索すれば今の工程がわかる

製番管理がうまくいかない原因の多くは、伝票や日報に番号を書き忘れる・書き間違えることです。番号を手で書かずに、選んで引き継ぐ形にすると、集計の手間と間違いが大きく減ります。受注したのにまだ出荷していない注文の管理は受注残とはでも扱っています。

製番管理をアプリにする4ステップ

1
番号の付け方を決める
年・連番・枝番など、ルールを一つにする
▶
2
番号を使う書類を決める
発注・作業日報・出荷のどこに製番を持たせるか
▶
3
実績を製番で入力
現場は製番を選んで作業時間とできた数を入力
▶
4
製番ごとに集計
見積と実際の材料費・作業時間を比べる
ポイント 1

枝番のルールを先に決める

追加注文や部分納品で番号を分ける場面が必ず出ます。「A-1024-2」のような枝番の付け方を最初に決めておくと、あとで混乱しません。

ポイント 2

共通部品の扱いを決める

ねじや汎用の材料まで製番で引き当てると手間が増えます。共通品は在庫として管理し、使った分だけ製番に付けるなど、線引きを決めます。

ポイント 3

見積の項目とそろえる

集計の項目を見積の項目(材料費・加工時間・外注費など)とそろえると、見積と実際の差がそのまま比べられます。

製番で記録がつながると、何が変わるか

紙・Excelの場合
  • 注文ごとの採算が月末までわからない
  • 材料がどの注文のものか追えない
  • 進み具合の確認に時間がかかる
  • 見積が経験と勘に頼ったまま
アプリで管理した場合
  • 製番ごとの材料費と作業時間がすぐ出る
  • 発注・作業・出荷の記録を番号でたどれる
  • 製番で検索すれば今の工程がわかる
  • 見積と実際の差を、次の見積に活かせる

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