仕様の確認が、電話とメモの往復になっていませんか

看板の文字の大きさ、チラシの紙の種類、棚の寸法と色。受注生産の仕事は、1件ごとに仕様が違います。営業が聞いてきた内容が、口頭やメモ、メールの転送で製作の担当に渡っていると、「どれが最新の指示か」が分からなくなりがちです。

この記事では、受注した1件ごとの仕様を製作現場に伝える製作指示書について、書くべき項目と、似た名前の書類との違い、仕様変更で作り直しを出さない回し方を整理します。

なお、同じ製品をまとめて作る量産の現場で使う書類は製造指示書、設備の点検や現場作業の指示は作業指示書の記事で解説しています。この記事は、1件ずつ仕様が違う受注生産に絞ります。

製作の指示があいまいなときに起きること

  • 古い寸法や色のまま作ってしまい、作り直しになる
  • お客様の校正やOKが出たかどうか、製作側が分からない
  • 納期が近い案件が埋もれて、直前に慌てる
  • 外注先に渡した内容と、社内の指示が食い違う

製作指示書とは、受注した1件の「何を・どの仕様で・いつまでに」を伝える書類

製作指示書とは、受注した案件ごとに、作るものの仕様・数量・納期・納め方を製作の担当に伝えるための書類です。看板や印刷物、家具・什器、金属や木工の加工、ユニフォームの名入れなど、お客様の注文に合わせて1件ずつ作る仕事で使われます。

会社によって「製作依頼書」「作業指示書」「指示書」などと呼び方は違いますが、役割は同じです。大事なのは、営業が受けた内容を、製作の担当が迷わず作れる形に変えて渡すことです。

製作指示書の位置づけ 見積・受注 お客様と仕様を決める (営業) 製作指示書 決まった仕様を渡す (案件ごとに1枚) 製作・納品 指示どおりに作って納める (製作・外注先) ▶ ▶ 仕様が変わったら、指示書を直して版を上げる

営業と製作のあいだで、決まった仕様を受け渡す書類

製造指示書・作業指示書との違い

どれも「現場に作業をお願いする書類」ですが、扱う仕事の形が違います。一般的な使われ方で分けると、次のように整理できます。

書類 向いている仕事 中心になる情報
製作指示書 1件ずつ仕様が違う受注生産 仕様・図面・校正の状態・納品方法
製造指示書 決まった製品を量産する 品番・数量・ロット・工程
作業指示書 点検・修理・現場作業など 担当・場所・期限・完了の基準

製造指示書は「同じものをいくつ作るか」、製作指示書は「今回だけの仕様で何を作るか」が中心です。そのため製作指示書では、数量よりも仕様の細かさと、その仕様がお客様に確定しているかどうかが重要になります。

製作指示書に書くべき8つの項目

業種によって細かい項目は変わりますが、受注生産の製作指示書に共通するのは次の8つです。

項目 1

案件番号とお客様名

見積・請求・納品書とつなげるための番号です。見積書の番号と同じ体系にしておくと、あとから追いかけやすくなります。

項目 2

品名と仕様

サイズ、素材、色、仕上げ、加工の方法など。「前回と同じ」ではなく、毎回の値を書くのが作り直しを防ぐ基本です。

項目 3

数量と予備

納品する数と、試し刷りや予備に使う数を分けて書きます。

項目 4

図面・データ・見本

デザインデータや図面のファイル名と版(何回目の修正か)を書きます。ファイルそのものは共有場所に置き、指示書から参照します。

項目 5

校正・承認の状態

お客様のOKが出ているか、どの版でOKが出たか。ここが空欄のまま製作に入るのが、作り直しの一番多い原因です。

項目 6

納期と工程の目安

納品日だけでなく、材料の手配・製作・検品の目安日も書くと、遅れに早く気づけます。

項目 7

納品方法と設置条件

配送か持ち込みか、設置作業があるか、搬入の時間や経路の制約などを書きます。

項目 8

外注の有無と変更履歴

一部を外注する場合は外注先と渡した内容。仕様が変わったときはいつ・誰が・何を変えたかを残します。

紙・Excel・アプリの製作指示書を比べる

観点 紙 Excel 業務アプリ
始めやすさ ◎ すぐ始められる ◎ 今あるもので作れる △ 準備が必要
仕様変更の反映 × 書き直して渡し直す △ 古いファイルが残りやすい ◎ 最新の版だけが見える
校正・承認の確認 × 営業に聞くしかない △ 欄はあるが更新されにくい ◎ 承認されるまで製作に回らない
データ・図面との紐付け × 別で探す △ ファイル名を手で書く ◎ 案件から直接開ける
納期の一覧 × 指示書を並べて見る △ 別の表に転記する ◎ 納期順に自動で並ぶ

案件が月に数件で、営業と製作が同じ人なら紙やExcelでも回ります。案件が重なる、仕様変更が多い、外注先にも渡しているといった状態なら、最新の仕様と承認の状態を1か所で見られるようにすると、作り直しと確認の電話が大きく減ります。見積の段階から版を管理する方法は見積書の作成と管理をアプリ化する方法も参考にしてください。

製作指示書を整える4ステップ

1
過去の作り直しを
洗い出す
どの項目の抜けで
起きたかを見る
▶
2
8項目で
様式をそろえる
業種に合わせて
項目を足し引き
▶
3
承認の欄を
必須にする
OK前は
製作に回さない
▶
4
変更は版を
上げて残す
古い指示を
見えなくする

最初にやるのは、過去の作り直しやクレームが、どの項目の抜けで起きたかを確かめることです。色の指定なのか、寸法なのか、承認の確認なのか。原因の多い項目から、様式で必ず埋まるようにしていきます。

指示がばらばらな場合と、製作指示書をそろえた場合

指示がばらばらな場合
  • 古い仕様のまま作ってしまう
  • 承認が出たか営業に電話で確認する
  • 納期の近い案件が埋もれる
  • 外注先との食い違いに気づけない
製作指示書をそろえた場合
  • 最新の版だけを見て作れる
  • 承認済みの案件だけが製作に回る
  • 納期順に案件が並ぶ
  • 変更の履歴があとから追える

製作指示書は、1件ごとに違う仕様を、確定した状態で、製作の担当に渡すための書類です。8つの項目をそろえ、承認の状態と変更の履歴を残す形にすると、作り直しと確認の手間がぐっと減ります。

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