作業の指示が、口頭やメモでばらばらに伝わっていませんか

「今日はA社の現場で点検、終わったら写真を送って」「この部品は先週と同じ手順で」。現場への作業の指示が、口頭や電話、手書きのメモで伝わっている会社は少なくありません。慣れた人同士なら回りますが、人が増えたり担当が替わったりすると、抜けや思い違いが起きやすくなります。

こうした指示を、決まった項目で書いて渡すための書類が作業指示書です。この記事では、作業指示書に書くべき項目と、似た名前の書類との違い、紙やExcelで回すときにつまずくところを整理します。

作業指示があいまいなときに起きること

  • 作業する場所や対象を間違える
  • 期限や優先順位が伝わらず、急ぎの作業が後回しになる
  • どこまでやれば完了か分からず、やり直しになる
  • 終わったかどうかを、電話で一件ずつ確認している

作業指示書とは、「この作業」を誰が・いつ・どうやるかを伝える書類

作業指示書とは、特定の作業について、誰が・いつまでに・どこで・何を・どの基準で行うかを、作業する人に伝えるための書類です。製造業の工程だけでなく、設備の点検や修理、清掃、建設の現場、倉庫での出荷作業など、さまざまな業種で使われています。

大事なのは、作業指示書が「その都度の具体的な指示」であることです。毎回同じやり方そのものを書いておく書類とは、役割が分かれます。

作業手順書・作業標準書・製造指示書との違い

作業指示書と似た名前の書類はいくつもあり、会社によって呼び方が入れ替わることもあります。一般的な使われ方で分けると、次のように整理できます。

書類 何を書くか いつ作るか
作業指示書 今回の作業の担当・期限・場所・対象・完了の基準 作業が発生するたび
作業手順書 ある作業を、どの順番で・どう行うか 作業の種類ごとに一度作り、見直す
作業標準書 品質や安全を守るための、決められたやり方と基準 作業の種類ごとに一度作り、見直す
製造指示書 どの製品を・いくつ・いつまでに作るか 生産の単位(受注やロット)ごと

つまり、作業手順書や作業標準書が「いつもの正しいやり方」、作業指示書が「今回やってほしいこと」です。作業指示書には手順をすべて書き写すのではなく、「手順は作業手順書の○番のとおり」と参照する形にすると、書く量が減り、手順を直したときの食い違いも起きません。

製造業での製造指示書・作業指示書・製造指図書の違いは、製造指示書とは?記載項目と作業指示書・製造指図書との違いで詳しく解説しています。

作業指示書と手順書の関係 作業手順書・標準書 いつもの正しいやり方 (作業の種類ごと) 作業指示書 今回やってほしいこと (作業が発生するたび) 作業報告 やった結果・写真・時間 (作業が終わるたび) ▶ ▶ 指示書は手順書を参照し、作業報告とセットで回す

作業指示書は「やり方」と「結果」のあいだをつなぐ書類

作業指示書に書くべき8つの項目

業種によって必要な項目は変わりますが、多くの作業指示書に共通するのは次の8つです。

項目 1

指示番号と発行日

あとから「どの指示の話か」を特定するための番号です。作業報告や請求とひも付けるときの手がかりになります。

項目 2

作業の名前と内容

「空調設備の定期点検」「部品Aの組立」など、何の作業かがひと目で分かる名前と、具体的な内容を書きます。

項目 3

担当者

作業する人の名前です。複数人で行う場合は、責任者を1人決めて書いておくと、確認の窓口がはっきりします。

項目 4

期限と予定日時

いつ始めて、いつまでに終えるか。急ぎかどうかの優先度もあわせて書くと、現場で順番を判断しやすくなります。

項目 5

場所と対象

現場の住所や部屋、設備の番号、品番など、どこの・何に対する作業かを取り違えないように書きます。

項目 6

使う道具・材料と、参照する手順書

必要な道具や材料、そして「手順は作業手順書の○番」のように参照先を書きます。手順を毎回書き写す必要はありません。

項目 7

注意事項(安全・品質)

立ち入りの制限、保護具、お客様からの要望など、今回の作業で特に気をつけることを書きます。

項目 8

完了の基準と、報告のしかた

どうなれば完了か(検査の基準、撮影する写真など)と、終わったら何を・どこに報告するかを決めておきます。ここが抜けると「終わったのか分からない」状態になります。

紙・Excel・アプリの作業指示書を比べる

観点 紙 Excel 業務アプリ
始めやすさ ◎ すぐ始められる ◎ 今あるもので作れる △ 準備が必要
現場への届け方 × 手渡し・FAX △ メール添付・印刷 ◎ スマホにすぐ届く
指示の変更 × 書き直して渡し直す △ 古い版が残りやすい ◎ 最新の内容だけが見える
完了の確認 × 回収するまで分からない △ 報告を転記する ◎ 完了と写真がその場で届く
あとからの集計 × 手で数える △ ファイルを集める ◎ 担当別・期間別に見られる

件数が少なく、担当も固定なら紙やExcelで十分です。現場が複数ある、指示の変更が多い、完了の確認に時間を取られているといった状態なら、アプリにすると手間が大きく減ります。電子化の進め方は製造指示書・作業指示書を電子化する方法、写真付きの報告については清掃会社の作業報告書をアプリ化する方法も参考にしてください。

自社の作業指示書を整える4ステップ

1
今の指示を
集める
口頭・メモ・
Excelを洗い出す
▶
2
8項目で
様式をそろえる
自社に要らない
項目は削る
▶
3
手順書と
切り分ける
やり方は手順書、
今回分は指示書
▶
4
報告と
セットで回す
完了と結果が
戻る形にする

指示がばらばらな場合と、作業指示書をそろえた場合

指示がばらばらな場合
  • 場所や対象を取り違える
  • 急ぎの作業が後回しになる
  • 完了かどうかを電話で確認する
  • 担当が替わると回らなくなる
作業指示書をそろえた場合
  • 誰が見ても同じ内容が伝わる
  • 期限と優先度で順番を決められる
  • 完了の基準と報告の形が決まっている
  • 新しい人にも同じ指示を出せる

作業指示書は、「今回やってほしいこと」を、決まった項目で、抜けなく伝えるための書類です。いつものやり方は手順書に任せ、指示書は8つの項目に絞る。そのうえで完了の報告が戻ってくる形にすると、指示と確認の手間がぐっと減ります。

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