「頼んだはず」「まだ頼んでいない」が社内で食い違っていませんか

仕入れ先への発注は、担当者がメールや電話、FAXでそれぞれ行っていることが多い業務です。発注した事実が担当者のメールボックスや手元のメモにしか残っていないため、ほかの人からは状況が見えません。

その結果、必要な材料が届かずに作業が止まる発注漏れと、同じものを2人が別々に頼んでしまう二重発注が、同じ職場で交互に起きます。どちらも原因は同じで、発注の状況を全員が見られる場所がないことです。

発注まわりでよく起きること

  • 在庫が切れてから、発注していなかったことに気づく
  • 担当者が休みの日に、発注したかどうか誰もわからない
  • 同じ部品を2人が別々に発注していた
  • 届いた荷物が、どの発注のものかわからない
  • 納期を過ぎても届いていない発注に、誰も気づかない

原因は、依頼・発注・入荷がそれぞれ別の場所に記録されていること

発注の流れは、「必要な人が依頼する」「担当が発注する」「届いたものを受け取る」の3段階に分かれます。多くの職場では、この3つが口頭・メール・納品書とばらばらの形で残っていて、つながっていません。

そのため「依頼は受けたが発注していない」「発注したが届いていない」という途中の状態を、誰も一覧で見ることができません。防ぐには、3つの段階を1本の記録でつなぎ、途中で止まっているものを見えるようにすることが必要です。

依頼・発注・入荷を1本の記録でつなぐ 発注依頼 必要な人が1か所に出す ▶ 発注 担当が処理し日付を残す ▶ 入荷・検品 発注と突き合わせて消す 発注残の一覧 「依頼済みで未発注」「発注済みで未入荷」を毎日確認する

途中で止まっているものが一覧に残るので、漏れと重複に気づける

ポイントは、発注した瞬間ではなく、入荷して数量を確かめた時点で完了にすることです。発注しただけで完了にすると、届かなかったものや数が足りなかったものが記録から消えてしまい、漏れの原因がそのまま残ります。

発注漏れと二重発注を防ぐ5つのポイント

POINT 1

発注依頼の窓口を1つにする

口頭、チャット、メモと依頼の入口が複数あると、それだけで漏れが生まれます。依頼は必ず決まったフォームや一覧に書くと決め、口頭で頼まれたときも受けた側がそこに書き込みます。

POINT 2

発注する前に一覧を確認する

二重発注の多くは、他の人がすでに頼んでいることを知らずに起きます。発注前に「同じ品目の発注残がないか」を見る手順を入れるだけで、ほとんど防げます。

POINT 3

発注残を毎日見る

発注した日と納期を記録し、納期を過ぎても入荷していないものを毎朝確認します。遅れに早く気づければ、仕入れ先への確認や代わりの手配が間に合います。

POINT 4

入荷は発注と突き合わせて消し込む

届いた品物を発注の記録と照らし合わせ、数量が合っていれば完了にします。一部だけ届いた場合は残数を残すようにすると、分納でも追いかけられます。

POINT 5

よく使うものは発注点を決める

消耗品や定番の材料は、在庫がこの数を下回ったら発注するという基準を決めておきます。人の記憶に頼らず、在庫の数字から発注のきっかけが生まれます。在庫側の考え方は在庫管理を効率化する方法で解説しています。

「発注残」という言葉を社内の共通語にする

発注したがまだ届いていないものを発注残と呼び、朝礼や週の打ち合わせで件数を確認するだけでも、状況を気にかける人が増えます。仕組みより先に、見る習慣を作ることが効きます。

担当者任せ・Excelの一覧・業務アプリの比較

発注の管理方法を、漏れと重複の防ぎやすさ、手間で比べます。

観点 担当者任せ Excelの発注一覧 業務アプリ
発注漏れ × 気づけない △ 入力されれば見える ◎ 依頼から追える
二重発注 × 起きやすい △ 同時編集で崩れる ◎ 発注前に重複を表示
入荷の消し込み × 納品書頼み △ 手で更新 ◎ 分納も残数で管理
導入の手間 ◎ なし ◎ すぐ始められる △ 最初に設計が必要

まずはExcelやスプレッドシートで「依頼日・品目・数量・依頼者・発注日・納期・入荷日」の列を持った一覧を作り、全員がそこに書くことから始められます。これだけで発注残は見えるようになります。

ただし、複数人が同時に書き込むと行がずれたり、入荷の更新が後回しになったりします。発注の件数が多い、仕入れ先が多い、分納が多いといった職場では、依頼から入荷までを1件ずつ追える業務アプリにすると運用が安定します。卸売業の受注側と合わせた仕組みは卸売業の受発注管理をアプリ化する方法を参考にしてください。

発注管理の仕組みを作る4ステップ

1
今の発注の
流れを書き出す
誰が・何で・
どこに記録するか
▶
2
依頼の窓口を
1つにする
フォームか
共有の一覧へ
▶
3
発注残の
一覧を作る
発注日と納期を
必ず入れる
▶
4
入荷で
消し込む
数量を照合して
完了にする

仕入れ先ごとの発注方法も一覧に残す

メールで送る先、FAXの先、専用サイトから頼む先と、仕入れ先ごとに発注の方法が違うことがよくあります。発注方法と締め時間を仕入れ先ごとに記録しておくと、担当者が休んでも代わりの人が発注できます。

担当者任せの場合と、発注残を見える化した場合

担当者任せの場合
  • 発注したかどうか本人にしかわからない
  • 同じものを2人が発注してしまう
  • 遅れている発注に誰も気づかない
  • 休みの日は発注が止まる
発注残を見える化した場合
  • 依頼から入荷まで一覧で追える
  • 発注前に重複に気づける
  • 納期超過が毎朝わかる
  • 誰でも代わりに発注できる

発注漏れと二重発注は、担当者の注意力の問題に見えて、実際は途中の状態が見えないという仕組みの問題です。まずは発注残の一覧を1つ作り、依頼から入荷までをそこで追うところから始めてください。

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