在庫が切れてから慌てて発注している

材料が棚からなくなって、初めて発注していないことに気づく。急いで頼んでも届くまで数日かかり、その間ラインが止まる。逆に、切らすのが怖くて多めに頼むうちに、倉庫には動かない在庫がたまっていく。「いつ・いくつ頼むか」が担当者の勘で決まっていると、こうしたことが起きやすくなります。

この記事では、発注のタイミングを決める目安の発注点と、その中に含める安全在庫の計算方法を、計算例つきで整理します。在庫管理全体の進め方は在庫管理を効率化する方法、発注漏れや二重発注を防ぐ仕組みは発注漏れ・二重発注を防ぐ発注管理の仕組みで紹介しているので、ここでは発注点の決め方に絞ります。

発注のタイミングでよくある困りごと

  • 在庫切れに気づくのが遅い
  • 多めに頼んで在庫が増える
  • 発注点はあるが、何年も見直していない
  • 担当者が休むと発注が止まる

在庫がこの数を下回ったら発注する、という目安の数

発注点は、在庫がその数を下回ったら発注する目安の数です。発注してから届くまでの間に使う分と、使う量の増減や納期の遅れに備える分(安全在庫)を合わせて決めます。

発注点は、届くまでに使う分と備えの分の合計1日の使用量平均して使う数調達期間発注から届くまでの日数安全在庫増減・遅れへの備え発注点 = 1日の使用量 × 調達期間 + 安全在庫在庫が発注点を下回ったら発注する

発注点の考え方

このように在庫が一定の数を下回ったら発注するやり方を「定量発注方式」と呼びます。これに対して、毎週月曜など決まった日に、必要な数を計算して発注するやり方を「定期発注方式」と呼びます。発注点は主に定量発注方式で使う考え方です。

発注点と安全在庫を計算してみる

安全在庫は、一般的に次の式で求めます。

項目意味計算式・目安
安全在庫使う量のばらつきに備える在庫安全係数 × 使用量の標準偏差 × √調達期間
安全係数在庫切れをどこまで許すか在庫切れを5%程度に抑えるなら約1.65
使用量の標準偏差1日あたりの使用量のばらつき過去の使用量から計算する
発注点発注する目安の在庫数1日の使用量 × 調達期間 + 安全在庫

たとえば、ある部品の1日の使用量が平均100個、使用量の標準偏差が20個、調達期間が4日、安全係数を1.65とすると、次のようになります。

項目計算結果
安全在庫1.65 × 20 × √4(=2)66個
届くまでに使う分100 × 4400個
発注点400 + 66466個

在庫が466個を下回ったら発注する、という目安になります。式はあくまで目安で、使用量の変化や仕入先の事情によって実際の値は調整が必要です。使用量のばらつきが大きい品目や、納期が遅れがちな仕入先の品目は、安全在庫を多めに見ておきます。

紙・Excelで発注点を管理すると

項目紙Excelアプリ(データ)
在庫数の更新棚札を書き換える出庫のたびに誰かが入力出庫を記録すると在庫が減る
発注点を下回ったか棚を見に行って気づく条件付き書式を見た人だけ気づく下回ったら担当者に知らせる
発注点の見直し何年も同じ数のまま使用量の集計に手間がかかる使用量の実績から見直しの候補を出す
発注したか担当者の記憶頼み発注済みの列が空欄発注済み・入荷待ちが一覧で見える

発注点は、在庫数が正しくなければ意味がありません。帳簿と実物の差を減らす方法は棚卸を効率化する方法、古い在庫から使う決めごとは先入れ先出しとはで紹介しています。

発注点で発注する仕組みを作る4ステップ

1
対象の品目を選ぶ
切らすと困る品目から始める
▶
2
発注点を計算する
使用量と調達期間の実績から
▶
3
出庫を記録する
使ったらその場で在庫を減らす
▶
4
下回ったら知らせる
発注から入荷までを追う
ポイント 1

全品目でなく、切らすと困る品目から

最初から全品目に発注点を付けると、計算と見直しが追いつきません。ラインが止まる材料や、調達に時間がかかる部品から始めます。

ポイント 2

発注点は定期的に見直す

使用量や仕入先の納期は変わります。3か月や半年ごとに実績を見て、発注点を直すことを決めておきます。

ポイント 3

発注したら発注点の判定から外す

発注済みの分を数に入れないと、同じ品目を何度も発注してしまいます。入荷予定の数も一緒に管理します。

発注点で管理すると、何が変わるか

紙・Excelの場合
  • 在庫が切れてから気づく
  • 切らすのが怖くて多めに頼む
  • 発注点を何年も見直さない
  • 担当者が休むと発注が止まる
アプリで管理した場合
  • 下回った時点で担当者に知らせが届く
  • 根拠のある数で頼める
  • 実績から見直しの候補が出る
  • 誰が見ても発注が必要な品目がわかる

発注した品目が届くまでの管理や、受注に対してまだ出荷していない分の考え方は受注残とはでも扱っています。

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