日報は毎日書いているのに、数字として使えていない

作業が終わったら、作業者が紙の日報に品番と数量を書いて班長の机に置く。班長は月末にまとめてExcelに打ち込み、生産実績や不良率を出す。ところが書き方が人によって違い、集計の手前で手が止まる。製造の現場でよくある状態です。

この記事では、製造業の作業日報(生産日報・作業報告書と呼ぶ会社もあります)に書く項目と記入例、日報を集計に使えない原因、現場で入力してそのまま集計できる形に変える手順を整理します。日報を紙からスマホ入力に変えるときの画面の作り方全般は紙の日報をスマホ入力へ変えるときの設計ポイントで紹介しているので、ここでは製造業ならではの項目と集計に絞ります。

製造業の日報でよくある困りごと

  • 品番や工程の書き方が人によって違う
  • 不良の数は書いてあるが、理由が空欄
  • 設備が止まった時間が残っていない
  • 月末の転記に半日以上かかる

1日の作業の実績を、工程ごとに残す記録

製造業の作業日報は、誰が・どの工程で・どの品番を・何個作り・何個不良が出て・何時間かかったかを1日単位で残す記録です。作業者にとっては報告ですが、会社にとっては生産実績・不良率・工数・設備の止まり方を知るための元データになります。

1枚の日報が、いくつもの集計の元になる生産実績品番別の出来高不良数と理由工数作業時間設備停止止まった時間と理由作業日報(工程・品番・日付ごと)日ごと・月ごとの数字がそのまま出る

作業日報から作れる集計

作業時間を製品や工程ごとに集めて管理する考え方は工数管理とは、良品の割合の出し方は歩留まりとはで扱っています。日報はそれらの数字の入口にあたります。

製造業の作業日報に書く主な項目と記入例

項目書く内容記入例集計での使い道
日付・作業者作業した日と担当者10月24日・山田人ごとの実績・応援の把握
工程・設備作業した工程と使った設備プレス工程・2号機工程別・設備別の実績
品番・指示番号作った製品と製造指示書の番号A-1023・指示No.5481指示ごとの進み具合
数量良品数と不良数良品480・不良12出来高と不良率
不良の理由選択肢から選ぶバリ8・キズ4不良の多い理由の順位
作業時間開始・終了と段取りの時間8:30〜17:00・段取り40分工数と段取り時間
設備停止止まった時間と理由13:10〜13:35・材料待ち停止の多い理由の順位

品番と指示番号は、製造指示書と同じ番号を書くと、指示に対してどこまで進んだかを後から追えます。不良と設備停止は、理由を選択肢にしておくのがいちばん大事な点です。自由記述のままだと、同じ理由でも言い方が人ごとに違い、数えられません。

記入の決めごとの例

  • 品番は手書きせず、指示書の番号から選ぶ
  • 不良の理由は5〜8個の選択肢+その他
  • 設備停止は5分以上のものだけ書く
  • その日のうちに提出する

紙・Excelの日報を集計に使おうとすると

項目紙Excelアプリ(データ)
入力のタイミング終業前にまとめて書く事務所のPCで代わりに入力作業の区切りごとに現場で入力
書き方のそろい方略し方・単位がばらばら列はそろうが値がそろわない品番・理由を選択肢から選ぶ
集計月末に転記してから集計シートを1か所に集めて関数を直す入力した時点で集計に入る
異常に気づく早さ月末まで気づかない集計した日にやっと気づく不良や停止が多い日にその日のうちに気づく

日報を集計に使えない原因は、多くの場合「書く人の努力不足」ではなく書く形が集計に向いていないことです。項目の形をそろえるだけで、転記の手間はかなり減ります。

作業日報を集計できる形に変える4ステップ

1
今の日報を集める
1か月分の紙を並べて項目を洗い出す
▶
2
選択肢を決める
品番・工程・不良と停止の理由
▶
3
現場で入力する
作業の区切りにスマホやタブレットから
▶
4
毎日の集計を見る
工程別・理由別の数字を朝礼で使う
ポイント 1

今の日報の項目を減らさずに始める

最初から項目を削ると、現場が「前の方が書けた」と感じます。まずは今の項目をそのまま入力できる形にして、使われない項目は後で外します。

ポイント 2

理由の選択肢は現場と決める

不良と停止の理由は、実際に日報に書かれている言葉から選ぶと、現場が迷わず選べます。

ポイント 3

集計を現場に返す

入力した数字が翌朝の朝礼で使われると、入力が「報告のための作業」から「自分たちの数字」に変わります。

作業日報がデータになると、何が変わるか

紙・Excelの場合
  • 月末に半日かけて転記する
  • 不良の理由が数えられない
  • 設備停止の時間が残らない
  • 問題に気づくのが月末
アプリで管理した場合
  • 転記がなくなり、その日の実績が見える
  • 不良の理由を多い順に並べられる
  • 停止時間と理由が設備ごとにたまる
  • 不良や停止が多い日にすぐ気づく

設備が止まった時間がたまってくると、設備の稼働率も出せるようになります。計算の仕方は設備稼働率とはで紹介しています。

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