見積もりが毎回「感覚」で、終わってみると赤字だった

同じような製品なのに、毎回見積もりの金額がぶれる。忙しかった月ほど利益が残っていない。どの仕事に何時間かかったかを聞いても、誰もはっきり答えられない。原因の多くは、実際にかかった作業時間が記録として残っていないことです。

この記事では、工数とは何か、工数の計算方法、予定と実績の比べ方、記録の付け方の選び方と、紙の日報から工数を集計できるようにする手順を整理します。どこまで細かく記録するかは会社によって違うため、ここでは一般的な考え方として紹介します。

工数が見えていない会社でよくある困りごと

  • 見積もりが担当者の経験と勘で決まっている
  • どの製品・どの客先が儲かっているかわからない
  • 日報はあるが、集計していないので使われていない
  • 忙しさの偏りに気づくのが遅れる

工数は「人数×時間」。仕事の量を、人と時間の掛け算で表す

工数は、ある仕事を終えるのに必要な作業量を、人数と時間の掛け算で表したものです。3人で4時間かかった作業は「12人時(にんじ)」、2人で3日かかった作業は「6人日(にんにち)」と数えます。1人で12時間かけても、3人で4時間かけても、工数は同じ12人時です。

工数=人数×時間。予定(標準工数)と実績を並べて差を見る作業者 3人同じ作業に入る×4時間かかった時間=12人時(にんじ)1人でやると12時間分の作業量標準工数(予定)10人時実績工数12人時差の2人時が「どこで・なぜ増えたか」を記録から読む

工数の計算と、予定と実績の差を見る考え方

工数管理とは、この工数を仕事ごと(製番や指示書の番号ごと)・工程ごとに記録し、予定と比べて、見積もり・原価・人の割り振りに使うことです。受注生産で製番ごとに原価を見たい場合は製番管理とはもあわせて読むと、つながりがわかりやすくなります。

人時・人日・人月と、標準工数・実績工数

言葉意味例主な使いどころ
人時(にんじ)1人が1時間でこなす作業量3人×4時間=12人時製造の工程、短い作業
人日(にんにち)1人が1日でこなす作業量2人×3日=6人日工事・据え付け、数日かかる作業
標準工数決めた手順で行ったときの、予定の工数1個あたり0.5人時見積もり・計画・人員の配置
実績工数実際にかかった工数1個あたり0.6人時原価の計算・見積もりの見直し

標準工数は、作業標準書で決めた手順どおりに作業したときにかかる時間をもとに決めます。実績工数との差が大きい工程は、段取りに時間がかかっている、手直しが多い、手順が人によって違う、といった理由が隠れていることが多くあります。

工数の記録に残す主な項目

  • 日付・作業者
  • 製番・指示書の番号(どの仕事か)
  • 工程・作業の種類
  • 開始と終了の時刻(または作業時間)
  • 作った数・不良の数
  • 段取り・待ち・手直しなど、本来の作業以外の時間

工数の記録は3つのやり方から選ぶ

やり方日報に1日分まとめて書く作業ごとに開始・終了を押す機械の稼働記録から取る
手間小さい中くらい仕組みを作るまでが大きい
正確さ記憶に頼るので粗くなる作業ごとの時間がわかる機械の時間は正確。人の作業は別に要る
向いている会社まず全体の傾向をつかみたい製番ごとの原価を出したい設備の稼働が利益を左右する
気をつけること「その他」に時間が逃げる押し忘れの扱いを決めておく人の工数とは分けて見る

最初から細かく記録しようとすると、現場の負担が大きくなって続きません。まずは「どの仕事に、何時間」だけを日報で集め、差が大きい工程だけ細かく取るのが現実的です。

日報から工数を集計できるようにする4ステップ

1
仕事の番号をそろえる
製番・指示書番号を日報に必ず書く
▶
2
工程の名前を決める
選択肢にして書き方の揺れをなくす
▶
3
スマホで入力する
作業が終わったその場で時間と数を入力
▶
4
予定と実績を並べる
製番・工程ごとに差を自動で集計
ポイント 1

工程名は自由に書かせない

「組立」「組み立て」「ASSY」のように書き方が揺れると集計できません。選択肢から選ぶ形にします。

ポイント 2

待ち時間も分けて残す

材料待ちや段取りの時間を作業時間と混ぜると、どこを改善すればよいかが見えなくなります。

ポイント 3

見積もりの元にする

集まった実績工数を製品ごとの平均にすると、次の見積もりの根拠になります。

工数が見えると、何が変わるか

紙・Excelの場合
  • 見積もりが担当者の勘で決まる
  • 日報が集計されずに眠っている
  • どの仕事が赤字かわからない
  • 忙しさの偏りに後から気づく
アプリで管理した場合
  • 過去の実績工数から見積もれる
  • 入力した時点で集計が終わっている
  • 製番ごとの工数と原価が見える
  • 工程ごとの負荷を前もって見られる

紙の日報をスマホ入力に切り替えるときの注意点は紙の日報をスマホ入力へ変えるときの設計ポイント、作業の指示との結びつけ方は製造指示書とはでも紹介しています。

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